USMLE step 1 対策 (2013年2月13日更新)

概要

基礎医学に対する知識を問うUSMLE step 1ですが、臨床問題も多いので、症例提示を読み解くのに慣れておかないと戸惑うことも多いかと思います。症例提示を読み、診断をつけた上で、その病気に対する基礎医学的知識を問う質問がなされるわけです。

そして、最終的には、どれだけ例題をこなしポイントとなる知識を覚えたか、これが点数に反映されてきます。この点数が、IMGとしてresidencyにmatchingする際には、とても重要になってくると聞いています。Fellowshipの際は、residencyほどは重要ではないかも知れません。

学生さんの場合は、基礎医学の知識がまだ残っているうちに受験した方が良いかも知れませんが、臨床の知識が少ない分、症例の診断等で苦労すると思います。しかし、社会人になってからよりは、まとまった勉強時間がとれますので、一気に集中して勉強したほうが効率がよいかも知れません。

一方、既に医師になった方の場合、step 1から始めるのは私はお勧めできません。Step 1は勉強時間がかかりますので、なかなか時間がとれない忙しい人の場合は、勉強を続ける動機を保つのすら苦労することでしょう。私が行いましたように、step 2CKから始めれば、臨床知識に関する問題なので比較的とっつきやすく、勉強時間も少なくて済みます。Psychiatryの勉強をすれば必然的にstep 1のbehavioral scienceの一部を勉強することになりますし、薬の名前などもstep 2CKで勉強しておけば、step 1のpharmacologyでも役に立ちます。そして、step 2CKに合格してしまえば、step 1への受験勉強を続けるだけの気力が沸いてくることでしょう。

英語力

そして、大事なのは英語です。長い問題文を読んでサッと解答するには、速読が出来ないといけません。選択肢にもすばやく目を通す必要があります。Step 1はまだマシですが、step 2CKでは問題文がもっと長くなりますので、医学英語を含めた語彙力と、速読力を鍛えておく必要があります。質問と選択肢にまず目を通し、それから問題文を読むというテクニックは、速読力がついてから覚えればよいと思います。

私が受験した時は(2006年12月)、試験は1時間のブロック7つからなり、1ブロック50問の問題に答えるというものでした。1問にかけられる時間は平均1.2分ですから、いかに早く問題を読み答えを出すかが大切になります。また、全く分からない問題は捨てるだけの潔さも必要です。間違えた解答をしても減点にはなりませんから、ある程度解答を絞れればそのうちのどれかを選んでおけば良いですし、全く分からない場合でも適当に何かを選んでおく必要があります。下手したら、後で戻ってくるような時間は全くありませんから。

参考テキスト

First Aid for the USMLE Step 1 2013 (First Aid USMLE)First Aid for the USMLE step 1

あちこちのサイトでも書かれているとおり、これは必須の本です。この本に書いてある内容を覚えておけば、合格ラインに達することができます。大事なツボは押さえてあり、本当によく出来ていると思います。問題点は、広い範囲を簡潔に、要点しか書いてありませんので、いきなりこれだけを読んでも頭に入りにくいことです。問題集で問題を解き、分からなかった部分はFirst Aidをチェックして書き込んで覚えるのが近道だと思います。

集中して勉強すべき科目は、biochemistry(生化学)、microbiology(微生物学)、pharmacology(薬理学)、behavioral science(行動科学)だと思います。Anatomy(解剖学)は私は捨てましたし、Physiology(生理学)はpharmacologyのついでに勉強した程度でした。病理組織の写真はアトラスを一通り眺めましたが、ろくに覚えていませんでした。

イラストレイテッド生化学 原書5版Lippincott's Illustrated Reviews: Biochemistry (Lippincott's Illustrated Reviews Series)Illustrated Reviews Biochemistry

生化学は、代謝の全体的な流れを頭に叩き込む必要があります。解糖系、グリコーゲン代謝、TCAサイクル、尿素サイクル、アミノ酸代謝、脂肪代謝、ビタミンの役割、蛋白合成・修飾などなどなどなど。やっぱり、これが一押しです。図が素晴らしい。これを何度も見て、説明ができるくらい覚えておくのが良いと思います。日本語版も出ていますので、英語で始めるのに自信がなければ、まずこちらを読んで概略を理解したらよいでしょう。しかし、最終的には物質名や酵素名を英語で覚える必要があります。

High-Yield[TM] Cell and Molecular Biology (High-Yield  Series)

High-Yield Cell and Molecular Biology

分子生物学は、生化学の教科書だけでは不十分で、もう少し知識を補強しておく必要があります。分子生物学はどんどん新しくなっていっていますから、新しいのを読んだ方が良いでしょう。Cellを読んだら良いのかも知れませんが、これは分厚すぎて歯が立ちません...



BRS Behavioral Science (Board Review Series)BRS Behavioral Science

行動科学は日本ではなじみが少ないので、よく勉強しておいた方が良いです。私はRidiculously Simpleで勉強しましたが、立ち読みした感じでは、このBRSの方が良い印象を持ちました。統計はよく出ますので、計算できるよう練習をしておく必要があります。最終的な感想としては、教科書を一通りざっと読み、First Aidと問題集を解くので良かったと思います。


微生物学,薬理学,生理学は,ほとんどFirst Aidと問題集のみで勉強しました。First Aidで大事なところはカバーできており、隅々まで覚えておけば大丈夫だと思いました。この辺りの知識はstep 2CKでも必要だったため、step 2CKの受験前にある程度読んでいたので、今回は時間が省けました。解剖学はバッサリ捨てました(神経が専門なので,神経解剖は比較的楽でしたが)。

薬剤の選択や副作用などの注意点は、ワシントンマニュアルなどを読むのも勉強になりました。特に、抗HIV薬、DMARD(疾患修飾性抗リウマチ薬)、降圧薬など。このあたりはstep 2CK(つまり臨床)とかぶっており、楽しく勉強できたところです。

問題集

オンラインの問題集では、KaplanUSMLE worldが双璧を成すのではないでしょうか? 

私自身は、USMLE worldを全問解きました。一通りカバーしてくれているので、全問解けば非常に勉強になります。問題文の長さなど、本番と雰囲気がそっくりです。難易度は本番より上でした。USMLE worldかKaplan Qbankは、やっておいて損はありません。

Kaplan Medical USMLE Step 1 Qbook (Kaplan Usmle)

Kaplan USMLE Step 1 Qbook

これは、私自身は、本屋で立ち読みをした程度ですが、本番に近い形式の問題で、一通りをカバーすることができるようです。上記のオンラインのKaplan Qbankと同じ問題なのかどうかは、私自身がKaplan Qbankを使いませんでしたのので分かりません。評判は良いようですから、ネットよりは問題集でという方にはお勧めかも知れません。

あとは、私はPretest seriesのBiochemistryとBehavioral scienceを少しやりました。各科の問題集が販売されていますが、本番よりも細かい知識を問うてくるので、あまり使いませんでした。



コメント

先生のブログを拝見させていただき、先月step1を受験しましたものです。
ここで得られた情報は非常にまとまっていて勉強の方向性、計画を立てる上で何度も助けられました。
結果的には228/98という目標の90というスコアを大きくoverできました。
今後もこの調子でstep2,3と受験していきたいと考えています。
ほんとうにありがとうございました。

ほかの方への参考までに・・・
僕はUW、FA、NBME form1,2,3とUWのtest1,2を勉強して(FAは4回は通読しました)

投稿: wai | 2010/04/03 22:46

waiさん、step1の合格おめでとうございます。すばらしいスコアですね!

このサイトの情報が助けになったとのことで、うれしく思っています。

この調子で、残りの試験もがんばってくださいね。

投稿: あきちゃん | 2010/04/04 03:14

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