2020/02/10

全国てんかんセンター協議会

全国てんかんセンター協議会(JEPICA)へ参加してきました。

JEPICAとは、てんかん診療にかかわる多職種の学会です。

てんかんの患者さんは多くの問題をかかえておりますので、チーム医療が必須です。

いつもながら、とても熱気のある会議だなと思います。他施設の取り組みが色々と発表されるので、とてもためになります。自分たちの弱みもよく分かります...

この会議の終了後、てんかん診療拠点病院の会議があり、てんかんコーディネーターを今後どのようにして育成していくかの話し合いがありました。

いや、そもそも、てんかんコーディネーターとは何なのか? がきっちり明らかにされていないので、なかなか前に話が進みません。

当院では医療ソーシャルワーカーと小児専門看護師が担当していますが、「てんかん診療を円滑に行う(院内および院外)」という考え方はたぶん一致しますが、それぞれ独自の仕事の領分があるわけです。他の施設でも、精神保健福祉士や医師が担当しているところがあり、業務内容は千差万別です。

てんかん診療拠点の事業では、県内でのてんかん診療連携を円滑に行うことが重要項目でありますので、こういった連携にも何らかの役割を果たしていただくことになるのかなと考えております。

てんかんの診療機関でもそれぞれ果たすべき役割があり、てんかんセンターを名乗る機関で全てやろうとするとパンクは必定です。患者さんに不安を与えないように配慮しつつ、医療機関での分業が必要と考えています。そのため、県内全体の診療レベルの底上げを図ろうとしているところです。

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2019/12/23

5年の月日

ある代謝物の測定系を作っていますが、ようやくほぼ納得いくレベルになりました。

記録を眺めると、実験を始めたのが2015年1月。ほぼ5年経っています。

この間、がんばって実験しては失敗、しばらく休憩してまた実験、失敗、の繰り返しでした。他の仕事もあったので、時間を割くのには気力が必要でした。

2年ほど前にある程度測れるようになったのですが、まだ気になる点が色々ありました。この段階で論文を書いたのですが、却下が続き、正直気分が萎えました。

この1か月ほどで集中して実験し、以前よりも精度がやや高くなり、かつ測定に要する時間が8割に減りました。

発想を少し変えてみたのがよかったと思います。「急がば回れ」みたいな感じ。

がんばってみるものだな、とつくづく感じました。

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2019/12/07

脳波クイズ Q9

なかなかブログの更新ができません。心の余裕がある時にはチビチビ書き残したいと思います。

久しぶり(1年ぶり!)に脳波クイズです。

Q9. 2か月女児。新生児仮死後(詳細は省略)。フォローアップ目的の脳波(やや眠い時点の記録)です。以下の質問に答えてください。

1. モンタージュは何か? ちなみに、A12は、耳朶平均電極です。

2. 出現している特徴的な波形を表現せよ(何かではなく、波の形態)。

3. この波形の正体は何か?

4. 正常脳波か、異常脳波か?

20191207

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2019/10/25

てんかんの病態に切り込むにはどうするべきか?

先天代謝異常学会に参加しています。

一応、学会員でありますので。

やっていることは、かなりニッチな内容なので、発表カテゴリーは「その他」とか、オムニバス的なカテゴリーとかが常です。

まぁ、ニッチならではの強さはあります。競争が激しくないとか。

思えば、今までいつも人とは違うことをしてきたなぁ...

話題を学会に戻します。

学会の性質上、基礎的な話、研究的な話が多いですし、医師以外の参加もわりとあります。次世代シーケンス、質量分析、酵素活性測定、ドラッグデリバリー等、実験関係が好きな方は、心がときめくかも(私もわりと好き)。希少疾患が多いので、臨床医としてもどのように早期診断して治療するか等、興味はつきません。治験も精力的に進められています。

自分はてんかん専門医でもあるのですが、てんかん学会では、こういった基礎的な話がこんなには多くないと感じています。基礎疾患の診断のための次世代シーケンスは非常に発達し、あまたのてんかん性脳症の遺伝子が見つかりました。ですが、これらからどうしててんかんが起こるのかは、まだあまり分かっていないように思います。異常な回路網ができて発作活動が起こるのは、コンピュータシミュレーションで計算したりなどもできますが、遺伝子などの根っこから、異常な電気活動という表層へ届く道のりがイメージできないのです。

先天性代謝疾患はターゲットが見えやすい、てんかんはターゲットが見えにくい。こういった違いが原因なのかなとも思いますが、てんかんの起こるメカニズムにもう少し踏み込めたら、といつも思っています。そのため、先天代謝異常学会に参加している方々の「見方」を少しでも学べればと思います。

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2019/08/26

エベロリムスの適応拡大が承認

エベロリムスという薬剤が、結節性硬化症の治療薬として使われています。

結節性硬化症は、脳、心臓、腎臓、肝臓、皮膚などに病変ができる先天性の疾患です。細胞増殖などに関連するmTOR経路の亢進により起こります。

エベロリムスには、このmTOR経路を阻害する作用があり、これが治療効果を発揮すると考えられています。

このたび、このお薬が、結節性硬化症に合併する難治てんかんに対して保険適応の拡大が承認されました。

結節性硬化症のてんかんは、お薬が効きにくいことが多いのですが、1つ選択肢が増えたことになります。

選択肢が増えたのはうれしいですが、治療の順番に悩む機会は増えそうです。

通常の抗てんかん薬、ビガバトリン(West症候群に対して)、てんかん外科などの他の治療法、それぞれの適切なタイミングを考えなければなりません。

また、エベロリムスは免疫抑制作用があるため、小児の場合は予防接種が問題になります。生ワクチンは接種できなくなりますし、不活化ワクチンも効果が落ちますので、治療の順序と時期をよく計画していく必要があります。

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2019/07/22

てんかん重積状態は、てんかん以外でも起こる

てんかん重積状態について講演をするため、準備をしているところです。

てんかん重積状態は、てんかん発作が遷延する場合、または頻発して発作と次の発作の間に意識が戻らない場合、です。

時々(しょっちゅう?)誤解されているのですが、てんかん重積状態は、てんかんの方以外でも起こります。なぜなら、てんかん発作がてんかんの方以外でも起こるからです。

つまり、

てんかん発作 ≠ てんかん

なわけです。

てんかん発作は、大脳ニューロンの異常活動により一過性に脳機能に障害がもたらされる病態です。

この定義の中に、「てんかんに罹患している必要性」は一切記載されていません。頭部外傷だろうが、低血糖だろうが、電解質異常だろうが、熱性けいれんであろうが、大脳ニューロンの異常活動によりてんかん発作が起こりえます。

でも、ふつう「てんかん」発作と聞くと、「てんかん」という病気をお持ちの方で起こる発作と解釈しがちですよね? なんと、てんかん専門医ですら、そのような誤解をしている方々もおられます(不勉強と言えば、それまでですが)。

仕方ないですね。用語が不適切なのですから。誤解を招くような用語を使っているのが悪い。てんかん学会の用語委員会が改訂してくれないものか... でも、そもそも英語がepileptic seizureなので、世界的な問題なのかも。

なぜ、このような用語の是非にこだわるかというと、以前に日本小児神経学会から、小児けいれん重積治療ガイドライン2017という本が出版されたのです。私もガイドライン策定委員会の委員の1人でした。

この委員会で真っ先に問題になったのが、「けいれん重積という用語は不適切ではないか?」ということでした。この表現は、小児科領域ではよく使われます。けいれん重積型急性脳症なんて言われることはよくありますし。

しかし、医学用語として、けいれん重積という用語はないのです。あるのは、てんかん重積状態(status epilepticus)という用語です。けいれん重積は、正確には、けいれん性てんかん重積状態(convulsive status epilepticus)というのが正しいです。

なので、小児てんかん重積状態治療ガイドラインでよいのではないか、という意見もありました。

ここで、最初に書いた「誤解」の問題が議論になりました。

てんかん重積状態ガイドラインという名前にしてしまうと、特に小児救急の場で問題になる熱性けいれん重積状態、電解質異常や低血糖、脳炎・髄膜炎、頭部外傷等による発作重積状態といった大切な事項が意識されなくなってしまうのではないか? これは「てんかん」を診療する医師のためへのガイドラインであり、一般医家には関係のうすいガイドラインと誤解されないか? こういった懸念です。

そのため、医学用語としては正しくなくとも、小児科領域でよく使われている「けいれん重積」という言葉がガイドラインのタイトルに用いられたわけです。一般の小児科医、救急科医にも手にとっていただけるように。この辺りは、導入部分で経緯が詳しく説明されています。

けいれん重積という用語の欠点は、もう1つの大切な病態である、非けいれん性てんかん重積状態(non-convulsive status epilepticus)の概念が抜け落ちていることです。これは、特に救急・集中治療で問題になる病態ですから、今後のガイドライン改訂に反映していく必要があります。

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2019/05/27

Pediatric EEG Master Workshop 2019

台湾で開かれた脳波のワークショップに講師として参加してきました。昨年に引き続き、2回目です。

台北のシェラトングランドホテルが会場でしたが、とても巨大です。日本にこんなのがあるのだろうか(よく分からない)?

昨年は岡山空港から直行便(タイガーエア)で行ったのですが、今年は席が取れず、関西空港からの直行便(エバー航空)で行きました。エバー航空の方がサービスはよいですし、台北に着く時刻が早いのが魅力です。ただ、関空まで行くのは、正直ちょっと疲れます。

昨年は台湾に遅く着いたうえ、入国審査が長蛇の列で時間がかかり、到着ゲートに着いた時にはお迎えの方がしびれを切らして帰ってしまっていました。そのため、地下鉄を使ってホテルまで自力で行ったのでした。まぁ、経験にはなりましたが。今年は、お迎えの方に無事会えたので、全てスムーズに行きました。

その晩は海鮮料理を御馳走(巨大なカニや海老にびっくり)になり、英気を養って当日の本番です。

朝一番に講演を2つこなし、昼休憩の後は、small groupで病歴、脳波、画像検査を眺めながら、3例のcase discussionです。若手の先生方が多く、活気あふれる議論ができ、勉強になりました。ワークショップの準備を仕切られたのは、陳(Chen)先生という方ですが、準備には時間を要しただろうと思います。

晩には広東料理を御馳走になり、大満足です。台湾の先生方はとても陽気、フレンドリーで、冗談をたくさん言われて面白い。お酒もよく飲まれます。どうもアルコールの代謝酵素が自分とは違うようです。アルコール58度のお酒も出ましたが、ほんのちょっといただくだけにしました。舌や喉が焼けるようでしたが、味はおいしかったです。

台湾に学会関連で参加するのは4回目となり、知り合いも増えました。大切にしていきたいと思います。

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2019/05/02

てんかんの診断の原則

令和の世になりました。

2回目の新年が来たような気分です。

学会講演の準備をしているのですが、てんかんの診断の原則について書きたいと思います。過去にも何回か触れたかも知れません。

てんかんの診断で重要なのは、

病歴 >>> 脳波

です。

脳波は補助検査であり、病歴に優先することは決してありません。

病歴を聴取して、以下の評価をまず行います。

1. てんかんの可能性が高い。

2. てんかんの可能性が低い。

3. 何とも言えず。

1.の場合、脳波で病歴に矛盾しないてんかん発射がみられれば、脳波はてんかんの診断を支持します。脳波に異常がない場合でも、てんかんの否定はできません。この場合、脳波を再検する、発作時脳波を記録する、脳波の所見にこだわらずにてんかんと診断する、といった選択肢が考えられます。これはケースバイケースです。

2.の場合、そもそも脳波検査を行う必要は(高く)ありません。てんかんでないという自信があるなら、もちろん脳波検査は不要(無駄)です。問題になるのは自信があまりない時です。ここで脳波検査を行っててんかん発射が検出された場合、迷路にハマリます。私の考えとしては、それでもてんかんと診断しない方がよいです。あくまで病歴優先、脳波は補助検査です。脳波に全てをゆだねてはなりません。では、てんかんではないと言ってしまってよいのか? これも状況によります。私のお勧めは、確度が高まるまでは判断を保留するということです。

3.の場合、2.の自信がない場合と基本的には同じです。脳波は参考にはなるかも知れません。大切なのは、脳波でてんかん発射が見られればてんかん、見られなければてんかんではない、といった考え方をしてはならないということです。繰り返しますが、脳波に全てをゆだねてはなりません。

病歴より明らかに起立性低血圧による失神と思われるのに脳波をとってしまう、意識障害をともなう焦点発作(従来用語では複雑部分発作)を繰り返していると考えられるのに脳波異常がないために治療を始めない、発熱などの明らかな誘因があるのに脳波検査を行う、といった事例は数多く経験します。

てんかんの診断ミスは、以下によって起こります。

1. 不十分な病歴聴取

2. 発作症状に関する知識不足

3. 脳波の判読ミス

4. 脳波の解釈ミス(脳波への過信)

1.と2.はワンセットです。ちょっと時間をかけてお話を聞けば出てくる手掛かりが見逃されていることは多々あります。きっちりとした病歴聴取ができなければ、てんかんの診療は不可能です。3.はトレーニングにより解決する問題ですが、きちんと脳波を読める人に教えてもらわなければ、正しい読み方は身につかないでしょう。4.は脳波を読めると思っている人に起こりがちなミスです。波形は認識できていたとしても、これを病歴とくっつけて総合判断できなければ、重大な間違いにつながります。どんな検査にも限界があるのです。

てんかんであるという診断は、多大な注意を要します。患者さんの人生に大きな影響を及ぼすからです。てんかん診療を日頃行っていると、てんかんという病気が当たり前すぎて、この辺りの感覚が鈍ってしまいがちです。気をつけていかねばと強く思います。

もちろん、てんかんをてんかんでないと間違えてしまうと、こちらも問題です。適切な治療の機会を奪うことになるからです。バランスが大切です。

もう1つ大切なのは、偉い先生方の言うことを鵜呑みにしないことです。誰だって間違えますから。何故そうなのか、と常日頃自分の頭で考えることが大切です。今まで当然のことと教わってきたことに、実はたいした根拠がなかったなんてこともあります。

私はまだ中堅どころくらいですが、もし若手の医師がお読みであれば、私の書いたこの記事も鵜呑みにせず、自分の中できっちり消化してから実践していただければと思います。

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2019/04/19

ラコサミドドライシロップと注射薬

新規抗てんかん薬のラコサミドですが、粉薬(ドライシロップ)と注射薬が発売されています。

錠剤をつぶす処方を書く必要がなくなりますし、諸般の事情で内服できない場合にも注射薬が使えるのはとても便利です。

用量設定は、ゾニサミドに近い感覚ですね。

治験での都合上、体重30kgよりも29.9kgの方が使用可能量が多い(最大8mg/kg/日 vs. 12mg/kg/日)ので、ここはリアルワールドの世界で調整せざるを得ません。

個人的には、使いやすいお薬ではないかと考えています。

焦点てんかんに効くとされていますが、CSWS(睡眠時持続性棘徐波)を示すてんかん性脳症に効くのか、とても興味があります。

Naチャネル拮抗薬であるカルバマゼピンはCSWSを悪化させますから。

ラコサミドは、Naチャネル拮抗薬ではありますが、拮抗の仕方が異なります。また、CSWSを示すてんかん性脳症に効いたという症例報告もありますので、期待してしまいます。

レベチラセタムが単剤承認されて、カルバマゼピンに置き換わる第一選択になりそうな雰囲気を感じていましたが、ラコサミドも将来性があるように感じています。

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2019/02/04

ラコサミドが小児に使えるようになりました

新規抗てんかん薬のラコサミド(商品名ビムパット)の適応年齢が引き下げられ、4歳以上に使えるようになりました。

このお薬は、電位依存性ナトリウムチャネルを抑制するのですが、従来薬とは異なるメカニズムで抑制するそうです(遅い不活性化の促進)。

対象となるてんかん発作型は焦点発作です

このお薬は単剤の適応がありますので、てんかんの診断を診断した後、最初に使える薬の候補の1つになります。

今までは、焦点発作に単剤で使える新規抗てんかん薬はレベチラセタムのみでしたので、対抗馬になりそうです。

用量設定は、ゾニサミドに近いです。

主な副作用は眠気、ふらつき。

従来薬でナトリウムチャネルの代表とされるカルバマゼピンよりは、重症薬疹の頻度が低いのがよい点です。また、肝酵素誘導作用もない。薬物相互作用が少ないので、高齢者等、併用薬の多い方には使いやすいと思います。

今は錠剤だけですが、ドライシロップも出てきますので、こどもの患者さんにとっては飲みやすくなりそうです。

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