2016/01/13

海外での臨床における英語

新年最初の記事です(今さら)。

英語が関連する仕事があったので、久しぶりに海外で臨床留学をするための英語学習について思ったことを書きます。

英語能力を鍛えるにおいて、かつて自分がカナダで働くために一番目標にしたことは、患者さんと話せることです。

患者さんと話せるって、海外で臨床をやるには当たり前と聞こえるでしょうが、これが難しい。医療スタッフと話すのなんて、これに比べれば100倍簡単です。

何故かというと、医療スタッフは背景知識がありますし、専門用語も分かります。専門用語って意味が狭いので誤解が少ないんです。おまけに、こちらの英語能力も知っている!

そういう意味では、患者さんとの会話は真剣勝負です。こちらの英語力がダメだと、最悪担当医を替わってくれと言われることもあるかも知れません。専門用語はかみ砕いて話さないといけないし、get、put、takeなど、単純だけど難しい動詞を上手に使えないと。

もちろん、ある程度の教養をお持ちの方で、ゆっくりめ、簡単な文章で話してくださる方もおられます。しかし、子どもが重篤な状態など、心に余裕のない方もおられます。将来の見込みについて聞かれたりすることもあります。それにも対応しないといけない。また、早口や強い訛りで話される方もおられます。トロントは、移民が過半数なので、東アジア系、中東系、東欧、その他、たくさんの訛りがあります。

では、何かコツがあるのかと言いますと、正直あまりないのですが。

患者さんと話すには、まず訴えをよく聞くことです。自分の英語が完璧でないのは向こうも承知だろうから、ちょっと分かりにくい部分はきっちり確認する。回数が多くなければ、自然にいけると思いますし、確認することで、「聞いてくれているんだな」と思ってもらえます。訛りは、正直慣れるしかありません...

あとは、薬の増減や、こういった検査をします等の定型的な説明が簡単な英語で言えるように練習です。このあたりは、USMLE step 2CSでも勉強したので、とても役に立ちました。

医療スタッフと話す場合に気をつけたのは、なるべく短い文章で話し大切な部分は復唱して確認することです。特に数字。

どちらにも共通して言えるのは、簡単で短い文章を多く使うこと大切なところでは確認をきっちり入れること、と思います。

あと、英文速読は鍛えておく必要があります。USMLEの問題文を全部読んでも時間が足りるくらいを目標にしてよいと思います。そうでないと、カルテ読みで溺れます...

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2014/11/30

RとL

RとLと言ったら、英語の発音かと思うでしょう?

Rice(米)とLice(しらみ!)とか。

英語ではなくて、中国語のRで苦労しています。

来年に台湾の学会に行くことになったので、中国語の勉強を少しすることにしました。以前から、少しはしていたんです。でも、なかなか動機が...

台湾には2回行きましたが、言葉がよく分からん。喫茶店に行っても日本語は通じないし、英語もあまり通じない。ただ、日本人であることは察してくれて、日本語メニューを出してくれたりはします。みなさん、とてもフレンドリーで助かりました。なので、楽しい旅行でした。

ちなみに、北京にも講演会で1回行きました。この時は、日中両方話せる先生が通訳してくださったので、問題なし。

おかげで、いちばんたくさん言った言葉は、謝謝(中国なら谢谢)です。もちろんそれでよいわけですが、ちょっと物足りない。やっぱり、もう少しコミュニケーションしたいんです!

自分の中で覚えておきたい外国語は3つあって、英語、中国語、スペイン語です。この3つが話せたら、世界のかなりはカバーできるのでは? もしかしてアラビア語も必要??? スペイン語、ちょっとかじろうとしましたが、続いてません...

で、注豪語のRの音なのですが、とっても不思議な音です。聞いたことないし、自分で出すのも難しい。英語のRとは全く違いますし、日本語とは似ても似つかない。よく例文にありますが、日本人というのも難しい。カタカナ表記だと、イーバンレンになってしまいますが、全然違う音です。

おまけに、四声があるので、ますます複雑です。日本語でも、海と膿は高低で意味が全く違いますから、似たようなものでしょう。

なので、カタカナで覚えても全く通じないと思います。

ほかにも、色々と問題が。ピンインを勉強していますが、これを覚えるのもつらい。

こういう音があるんだなと、だいたい把握したら、聞きながら物まねして覚えるのが近道だろうと思います。

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2010/02/18

発表終了 (Presentation is over)

無事にNeurlogy Grand Roundsでの1時間の発表が終わりました。

PowerPointのプレゼンテーションツールを使ったので、原稿を全部覚えなくてすんだのが良かった。原稿なしでもたぶん大丈夫だと思ったけれど、時間制限があるので、途中で詰まりたくなかったのです。

それなりに楽しんでもらえたと思います。たぶん。そう願っています。

プレゼンテーションの評価が、後に点数としていただけるので、これを見て反省し、今後の改善点を考えるということになります。

新しいてんかん分類に関するILAEからの報告書について発表したのですが、この背景を理解するには、最低でも1981年と1989年の分類、2001年と2006年のILAEからの報告書およびそれらにまつわる議論を知っている必要があります。そのほか、生物学における種の分類手法も少しかじりました。

分類を理解すること、よい分類を作るということは、その疾患の構造を理解することにつながるのではないかと思います。脳は複雑ですし、簡単には直接調べられませんので、なかなか前途多難な道です。

しかし、色々考えて、とても勉強になりました。今後も、この領域はよ~く考えていきたいと思います。

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2010/02/17

発表準備 (Preparing for presentation)

明日は、神経科内での講演会、Neurology Grand Roundsがあります。これは、スタッフ、レジデント、フェローで持ち回りになっていて、1年に1回発表の機会があります。発表時間は質疑応答を含めて1時間。トピックは何でも可ですし、スタッフの場合は、関連領域の有名人を呼んでくるという場合もあります。

レジデント、フェロー達にとっては、自分達の勉強の成果を発表する貴重な機会であり、自分への評価にも影響しますから、気合いを入れて準備します。

僕は、2009年にILAEのウェブサイトに掲載されたてんかん分類に関する報告書について話すことにしました。1981年に発作型分類、1989年に症候群分類が出て以来、正式な改訂は未だ行われていません。2001年と2006年にILAEからの報告書が出ましたが、これらは改訂版ということにはなっておらず(そういう意図ではないと記載されている)、改訂版ではないのにそれらしく見えるようなものを出すなという批判も一部からありました。

2009年のILAEの報告は、正式な改訂を目指すものであり、これが今後どうなるかは注目されます。昨年の夏から秋にパブリックコメントも募集されており、僕もコメントを投稿しました。

ポイントとなるのは、発作型にしろ、症候群にしろ、一つの単位をどういう基準で決めるのかということです。特に症候群は、定義があいまい。発作型、病因、発祥年齢、脳波所見、画像検査、薬への反応性、発作予後、発達予後、遺伝子異常などなど、いろいろな特徴のクラスター(ぶどうの房みたいなもの)ということになっているのですが、これらの重みが症候群によっててんでバラバラです。検査法の進歩によって情報量が増えたのですが、分類体系が全然ついていっていない。

更にこれには、政治的背景もあって、自分達がこういう特徴的な所見をもつ患者さん達は新しい症候群だと主張し始めると、なかなか後に引けないのです。まず、よく似た集団が近くに見つかると、これらとは自分達の症候群はこんな感じで違うんだと力説するわけです。でも、それは単にそれらの周りの小さな世界を見ているだけに過ぎないのかも知れません。自分達の症候群を似たものと差別化する境界線は、果たしててんかん全体を眺めたときにも役立つのでしょうか?

ILAEは、お偉い先生達の個人的な意見重視の非科学的な方法ではなく、より客観的な手法でもって分類作業を進めようとしています。この方針には、僕は基本的に賛成です。ただ、症候群の基準がてんでバラバラだから、そこを何とかしないとどうにもならないと思います。つまり、本当に大事でないものはバッサリ切って捨てるということです(なんか、事業仕分けみたいですね... うまくいくのか?)。

という感じで、実際の発表では、過去のILAEからのレポートの概略を説明し、分類に関する問題点、2009年報告書の概説、そして僕が行った研究結果の概説で締めくくる予定です。

さぁ、明日はがんばるぞ!

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2010/01/12

Lookとseeの違い (Difference between look and see)

Lookseeという単語があります。「~を見る」の意味でlook at、「~が見える」の意味でseeと学校で習いました。Look atは意識して見る、seeは目に入ってくるという意味であると。だから、seeの方が受身的な印象があります。

ところが、どうもそう単純ではないみたいです。

You are looking at (something) but not seeing it.

という言い方があるのです。見ようとしているのに見えないという感じ?

G先生に尋ねたところ、「Look atは視線を向ける」という感じで、「seeは見て認識する」という感じ。つまり、そっちに視線が向いて(look at)いても、そこにある物を認識していなければ、seeとは言えないとのことでした。

Seeには、「理解する」という意味もありますから、単に見る以上の高次の機能が含まれているのでしょう。

なお、G先生によると、listen toとhearの方が違いが曖昧とのことです。

僕の愛用するCollins Cobuild英英辞典にはどう書いてあるか?

If you look in a particular direction, you direct your eyes in that direction, especially so that you can see what is there or see what something is like.

特定の方向をlookするということは、何がそこにあるか、または何かがどのようであるかが見えるように、そちらの方向に視線を向けることである。

When you see something, you notice it using your eyes.

何かをseeするということは、目を使ってそれに気づくことである。

そのものズバリが書いてあります。素晴らしい!

なお、listen toを引くと、話をしている人や音に注意を向けると書いてあり、hearについては耳を通して音に気づく(seeというよく似た意味)とlisten toと同じ意味が書いてあります。

コウビルド英英辞典少しすっきりしました。しかしまぁ、英英辞典は英語の勉強に役立つんだなとつくづく思いました。

Collins Cobuild英英辞典は、例文が上記のように完全な文章なのが好きです。興味のある方は、右の写真からどうぞ! 実は、最新版が出ていますが、CDが付いていないということで、あまりお勧めしません。最新版の輸入版もありますが、第5版より全体的に(本体もCDソフトも)重いという評判です。

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2010/01/08

スペイン語学習 (Learning Spanish)

スペイン語、ボチボチ進めています。挨拶から始まり、基本的な動詞を頭に入れています。数字も勉強しました。覚えたことは、同僚のアルゼンチン出身のA先生で毎日チョコチョコと練習しています。間違いを直してくれるのでありがたい。おかげで、記憶に残ります。

動詞の活用は難しいです。実際の状況を想定して(今友人に話しているんだとか、今第三者の噂をしているんだとか)、その活用形を口に出してイメージで結び付けようとしています。

舌を振るわせるRの発音
もがんばってます。どうも、自分にとってよさそうなのは、以下の方法みたい。今日、お風呂でシャワーを浴びている時に発見。

  1. 口を大きく動かして口の周りの硬さをとる。
  2. Tru, tru, tru, tru, tru...と何度も言う。
  3. Trurururururu...とゆっくり始める。Rは、日本語のラ行のように軽くはじく感じで。
  4. 舌の力を徐々に抜き、一息で言うように持って行く。すると、ウーという音にRの音が乗っているような感じになってくる。ウーという吐く息で舌が勝手に動かされ、弾力で戻り、また動かされるのが繰り返される感じ。自分で舌を動かすのではない。
  5. もっと力を抜くと、Trrrという感じになってきて、舌が振るえていい感じ。

あとは、慣れの問題かも知れません。たくさんたくさん練習しようと思います。僕の場合、喉を震わせるRの音の癖がついているので、気を抜くとそっちになってしまいます。なので、意識を口の前の方に持っていくように気を遣っています。

他に、Coffee Break Spanish Podcastというのを聞いています。説明が英語なので、英語のリスニングの練習もできちゃうという、一石二鳥♪

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2010/01/04

エスパニョール (Español)

今年は、少しスペイン語をかじってみることにしました。周りに話す人が結構いますし、合唱団でスペイン語の歌をよく歌いますから。

僕の中でとりあえず勉強したい言語は、英語、フランス語、スペイン語、中国語、韓国語なのです。

フランス語と韓国語はラジオ講座を1年以上聞いたのですが、ずっと昔のことで、記憶にあまり残ってません! おかげでハングルはなんとか読めますが。中国語は、まだあまり手付かずの状態。

スペイン語の発音は、Rの発音を除けば、日本人にはわりと楽かも知れません。英語圏の人にとっては逆に難しいかも。舌を震わせるRの発音は、僕にはまだできません。「サッポロラーメンとろろいも」などで練習などとネット上には書かれていますが、何が良いのか分からず。しばらくは悩みそうです。できる人には、「何で?」って感じなのでしょうか。僕にとっては、フランス語のうがいをするようなRの方がずっと楽です。

語彙は、フランス語とかなり近いものがあります。同じラテン系だから? 名詞に性別があったりなども一緒です。こういう点は、英語って単純でいいなぁと思います。

というわけで、簡単なところからボチボチと始めてます。初学者向けの教材は、英語圏のサイトが充実していますね。

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2009/05/30

Bamboozle

看護師のEさんから聞いた表現。

I'm bamboozled.

意味は、とても当惑している、I'm really puzzledといった感じの意味だそうです。口語なわけですが、ホントに知らない語や意味が多いです。

そのほか、

The dark cloud has lifted.

なんか、運の悪いことばかり続くことってありますよね。それがとうとう終わってホッとした際の言葉。暗い雲が晴れたって感じですね。

僕のオンコールも今週はとても忙しく、水曜日は完全に睡眠不足でA先生に1日だけカバーしてもらいました。それからは、すべてがうまくいって、わりと静かな週末を迎えることができています。まだ、あと2日あるので、なんとも言えませんが、無事に済みますように。

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2009/04/19

ポケットコール (Pocket call)

今日、H先生と脳波を呼んでたら、彼のiPhoneが突然鳴り出しました。

電話に答え、すぐ切って、"It was a pocket call."

なんじゃそりゃって尋ねてみると、ポケットなどに入れている携帯から誤操作(通話ボタンを知らず知らずのうちに押してしまうなど)で知らず知らずのうちに電話をかけてしまうこと、という意味だそうです。

動詞としても使え、"I pocket-called her."なんて言い方もあります。

それにしても、久しぶりに英語のことを書いたかも。

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2008/12/23

英語での英語授業 (English classes in English)

下記の新聞記事を見つけました。

<高校新学習指導要領案>英語で授業…「自信ない」教諭も

 「使えない英語」から「使える英語」へ。22日に公表された高校の新学習指導要領案は「英語の授業は英語で行うことを基本とする」と明記した。文法中心だった教育内容を見直し、英会話力などのアップを目指すのが狙い。文部科学省は「まず教員が自ら積極的に用いる態度を見せるべきだ」と説明する。だが教諭の英語力や生徒の理解度はばらつきが大きい上、大学入試は従来通りとみられ、現場からは効果を疑問視する声も出ている。【毎日新聞】

ん~、どうでしょうね。実効性は?

高校での授業内容変更は、受験に多大な影響を及ぼします。大学受験で求められるものが変わらない限り、難しいんじゃないかな。たとえば、英検1級みたいに、スピーチにするとかすれば、本気で変わるでしょう。

しかし、本気で英語の授業にするんなら、高校からでは遅すぎるんではないかい?

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