エレクトーンは、ヤマハの電子オルガンです。
自分は、5歳頃から中学生半ばまでエレクトーンを習っていました。技術的にはそこそこ弾けていたとは思います。ヤマハの演奏グレード5級までは取りましたので(6級までと5級からは難しさが格段に違う)。ただ、いかんせん子供ですし、今のようにYouTubeなどで世界中の音楽に色々な触れるのも難しい。音楽というものの理解はろくにできていなかったと思います。
中学生で止めちゃったのは、色々な事情があります。高校受験があったこと、エレクトーンが高価だったこと、デジタル化の波がきたことです。
エレクトーンは数年毎に新機種が発売され、グレード受験用の機種がそれに応じて変わります。試験室には以前の機器と新しい機器の2台が置いてあることが多いのですが、一般家庭でこれを買い替えていくのがキツイことは子供でも分かりました。なので、両親にはとても感謝しています。
デジタル化の波とは、エレクトーンのFX、FSシリーズの登場です。グレード受験用であれば、FS-30というモデルです。私が受験していた頃は、D-60、D-700というアナログ機種が使われていました。どういう風にアナログだったかといえば、カラフルなトーンレバーを動かして音を混ぜて作るというものでした。カレーのスパイスみたいなものでしょうか? 伴奏のリズムの音もチープなものでした。
FS-30が出て、エレクトーンはとてつもなく変わりました。音源がデジタル音源になり、音選びもレバーではなくボタンをタッチして選ぶ。鍵盤にもイニシャルタッチ(初速度で音が変わる、ピアノのようなもの)、アフタータッチ(押した後の圧の加え方で音が変わる)が搭載され、微妙な音のコントロールができるようになりました。そして、なんといってもリズム音源。実際の楽器をサンプリングした音が搭載されたため、とてもリアルな音になりました。その他、音色設定を記憶させ、ボタン1つで自動的に読みだす等、今のエレクトーンの基本的機能が搭載されたのです。まさに、革命的ともいえる進化でした。
自分が5級に通ったのは、受験機種がD-700とFS-30で、おそらく自分の持っているD-700は今回で終わりという時でした。今回で(2-3回落ちていました)絶対に合格しようと必死に練習したのを覚えています。
その後、HSシリーズ、ELシリーズ、ELCシリーズになり、昔の木のボディは廃止されモダンなスタイルになりました。こんなわけで、どんどん進化したエレクトーンですが、最近少し疑問に思うことも出てきています。これは、ELシリーズが出た頃から思っているのですが、もうほとんど進化の余地がなくなっているのではないかということです。
今時のエレクトーンの発する音は、キーボード、シンセサイザー、MIDI音源などとよく似た印象を受けます。エレクトーンの特色と言えば、両手両足を使って複数の音色を操り音楽を演奏することと言えるのでしょうが... 音自体は、他のデジタル楽器と同じになってしまったように思います。
最近、昔のアナログ機種時代のオルガンサウンドを懐かしく感じることが多いのです。特に、トレモロ音とか。スピーカーの前でファンを回して音が細かく震える効果を出していたのです(ファンの回りだす回転音が聞こえました)。今時の電子楽器の音に少し飽きてきた気もしています。
前置きが長くなりましたが、最近、セキトオシゲオさんのエレクトーンアルバム「華麗なるエレクトーン」がデジタル音源で発売されているのを見つけました。小学生の頃、セキトオシゲオさんのコンサートに行ったことがありますが、とても熱くて楽しい演奏でした。今は、エレクトーンから手を引かれ、秋篠健(あきしのけん)さんのお名前でピアノをされているそうです。
このアルバムは4つあり、私も最初の3つは楽譜を買ってもらって弾きました。技術的には5級レベルを超え、4級以上だと思います。当時は音源はレコードで、私は2番目のものだけを持っていたのですが、他のアルバムも聞きたくて聞きたくてたまらなかったのです。夢がかないました!
エレクトーンを止めて35年以上経った今、このアルバムを聞いていますが、古きよきエレクトーンの音が満載です。そして、セキトオシゲオさんのアレンジと演奏が素晴らしい。新鮮さすら感じます! また、エレクトーンを弾きたくなってしまいました。
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