多剤療法の罠4
薬剤抵抗性てんかんの方で、多剤療法に陥っている方は、たぶん少なくないと思います。
このような方では、ほぼ毎日発作がある、週~月に複数回発作がある、といった方がわりとおられます。
多剤療法に至った経緯としては、例えば以下が挙げられます。
1. 効かないと思ったお薬を減らしたら、発作が増えたので、減らせていない(むしろ増やした)。
2. 新しいお薬を加え、これが効いてから前の薬を減らそうと思っていたら、新しいお薬が効かないので、結果的にお薬の数が増えた。
3. あるお薬を少し試して効かず、別の薬を加えてみる提案があった。
1.は、多剤療法から抜けようとする場合にも問題になります。何かを減らすと発作が増えるのです。
でも、そのまま我慢すると、また落ち着いてくることがわりとあります。
何故かといいますと、発作の頻度が高い方でも、それなりのばらつき・波があります。自然の流れで増えたり減ったりするのです。
お薬を減らそうとするタイミングは、心理的に発作が少なめのタイミングになることが多いです。発作が多くて調子悪い時にお薬を減らす気にあまりならないでしょう?
このタイミングであれば、お薬を減らそうと減らさまいと、次に来られる時は発作が増えている可能性があります。自然の波の中で、調子よい時の後にくるのは、調子悪い時ですから。
もちろんお薬を減らした影響はないと言えません。リバウンドってありますから。なので、リバウンドが起こりにくいようにゆっくり減らします。
結果的に、調子悪い時をうまくやり過ごせられれば、また調子は上向きになるのです。そうしたら、またお薬を少し減らす。これの繰り返しです。
字で書くのは簡単ですが、発作は患者さんにとってキツイですから、こう単純にはいきません。患者さんは減らしたお薬を増やしたがります。医者も「うーん」と悩みます。一緒に相談しながら方針を決めるわけで、患者さんのご意向は無視できません。
いったいどうしたらよいのか?
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