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2023/03/15

ある日の診療事例2、続き3

またまた前回より1か月以上経ってしまいました。年度末は、色々とすることが多い...

ぶるぶる震わせる2歳男児ですが、このような主訴でくるてんかん発作としては、強直間代発作、強直発作、強直症状を示す焦点発作があります。

現在の発作型分類でいえば、全般または起始不明強直間代発作、焦点起始両側強直間代発作、全般または焦点強直発作になります。

強直症状は、「つっぱる」「ワナワナする」「ブルブルする」といった表現が分かりやすいです。

間代症状はビクッと一瞬起こる筋収縮とその後の筋弛緩が規則的・律動的に繰り返すものです。「ビクッビクッ」「ビクンビクン」といった表現になるでしょうか。患者さんによっては「ガクガク」「ふるえ」などと表現するかも知れませんので、注意が必要です。

前回の例1は、全般強直発作を想定した症状でした。症状には明確な左右差がありません。

厳密には、左右差がないからといって焦点発作である可能性は否定できませんし、全般発作でも多少の左右差は許容されます。そのため、詳細は発作時脳波で検討が必要です(それでも全般発作か焦点発作か分からない場合もありますが)。

例2は、症状に明確な左右差があります。フェンシング姿勢と呼ばれる肢位です。焦点強直発作が示唆されます。前頭葉てんかんでわりとみられる症状です。

例3は、持続が非常に短く、回復も速やかです。倒れたり、睡眠中に起こったりもありません。年齢から考えて、非てんかん性現象である身震い発作(shuddering attacks)の可能性があります。これは治療の対象にならず、成長とともに消失するのを待てばよいです。病歴が曖昧な場合や、どうしても自信がない場合は、発作時脳波での確認が有用です。

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