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2017/03/16

多剤併用の罠

難治てんかんの薬物治療でついついはまってしまう多剤療法。あくまで、非薬物療法が困難と考えた事例でのお話です。

こうならないように気をつけているつもりですが、なかなか難しい。紹介されてきた時点で多剤になっている方は、もっと難しい。

ある抗てんかん薬を使って発作抑制が得られない場合、次のお薬を試します。この際に、元の薬を中止できないと、多剤療法へのドアが開いてしまいます。

中止できない理由(言い訳)は色々とあるのです。

多少は効いた(かも知れない)。

減らすと発作が増えた。

新しい薬を加えてから減らそうと思っていたが、発作の改善が十分でなく減らせない。

でも、よく考えると、元の薬で発作は止められなかったのです。発作が減っただけでは効果不十分です。国際抗てんかん連盟によれば、発作ゼロにならなければ、その薬による治療は失敗です。そのような薬にこだわっても仕方がない。

いやいやそんな単純なものではない、というご意見もきっとあるでしょう。

でもね、聞きたいです。5剤も6剤も併用していて、2剤3剤と大きな差はあるの?

デメリットはたくさんあります。

処方が複雑になりミスの機会が増える。

内服が大変。

薬物相互作用を考えないといけない。

副作用が出やすい。出た場合、どの薬のせいか分からない。

新薬が使えるようになっても、簡単に試せない。

多剤になっている状態で、どれかを抜くための労力はたいへんです。患者さんにも頑張ってもらわないといけないし、時間もかかります。薬を何か加える際には、あらかじめどれを抜くか考えておかないといけないし、そう決めたらある程度は心を鬼にして入れ替えを完遂する意志が必要です。すぐには減らせなくても、チャンスと見るや減らす、そういった心配りも必要です。

私の前任地の静岡てんかん・神経医療センターでは、引き算の治療が重視されていました。多剤併用で紹介されてこられる方が多いため、入院して薬を減らすわけですが、発作の増減は一時的にあるものの結果的に減らせますし、副作用・内服の手間が減って患者さんは楽になります。

そもそも、多剤併用を避けるように処方されていれば、上記のような入院は要らないのであって、結果的に時間の大きな無駄を生じていることになります。

処方はシンプルがベスト!

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