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2017/02/23

脳波クイズ Q3

久しぶりに脳波クイズです。

先日の全国てんかんセンター協議会総会でお会いした先生に、「このクイズは面白い」と言っていただきましたので、やる気アップです。

我こそはと思う方は、回答のコメントを下さい(管理人の承認後に掲載されます)。

Q3. 12歳男児。以下の質問に答えてください。

1. モンタージュは何か?

2. 覚醒時記録か、睡眠時記録か?

3. この脳波には、部位(≒最大電位の場所)が異なる突発性の波形(てんかん発射とは限らない)が複数出ています。部位はどこか? それぞれの波形は正常か、異常か?

4. 部位以外に波形そのもので異なる点はあるか? あるとすれば、その意義は?

5. 部位の違いを分かりやすくする方法は?

Bects_referential

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2017/02/21

ケトン食のレシピ

ケトン食療法は、お薬がなかなか効かない、いわゆる難治てんかんの患者さんで試される食餌療法です。

古典的ケトン食、中鎖脂肪酸ケトン食、修正アトキンス食(厳密にはケトン食ではない)がわりとよく使われています。

ケトン食は、医師の指示の元、栄養士との相談で行われます。自己判断で行うと、思わぬ危険があります。

患者さんによく言いますが、ケトン食は決して安全ではありません。非常に偏った内容の食餌であり、栄養学的に種々の問題があり、副作用に注意して行う必要があります。

とはいえ、薬よりも効く場合もありますので、治療の選択肢として頭に置いといて損はありません。

さて、患者さんと御家族にとって悩みのタネなのが、献立作り。糖質、脂質、蛋白質の量をきっちり計って、それに合わせて材料を準備して、かつ美味しく調理する。正直、これをこなしておられるご家族には脱帽です。

先日の全国てんかんセンター協議会総会で耳にしたのですが、私の前任地の静岡てんかん・神経医療センターのホームページにケトン食レシピのブログが掲載開始になりました。

こちらの栄養士さんたちは本当に熱心で、「この子は難しいだろう!?」と思った患者さんが食べてくれるようなメニューを色々考えてくれましたし、遠方からの入院患者さんが退院する時には帰りにケトン食のお弁当を持たせてくれるという心遣いです。ケトン食を食べていると、お出かけ時の食事が問題になりますから。

まだ始まって間がないようですが、今後の更新に期待です。

ケトン食を行っている患者さんの御家族と栄養士さんの知恵が結集した、ケトン食版クックパッドのようなものができたら最高ですね。

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2017/02/16

てんかん診療の本

はじめてのてんかん・けいれん診療 -上手な説明・コンサルテーションの仕方-

本の宣伝です。

てんかん診療をこれから始める先生方のために書かれています。

編集された小出先生は、静岡てんかん・神経医療センター時代の元同僚です(診療科は異なりましたが)。

共著者は、私を含め、静岡てんかん・神経医療センターで働いていた医師達です。

なるべく平易な言葉で分かりやすく、というのが特徴です!

ぜひ手にとってみてください。

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2017/02/01

脳波クイズ A2

前回の解答です。

レベル的には、3辺りでしょうか。

A2.

1. 同側耳朶を基準とした基準導出(Referential montage)です。

2. 覚醒時記録です。

3. 瞬目(まばたき)によるアーチファクトです。眼球運動によって起こります。

4. 右の耳朶電極(A2)由来のアーチファクトです。

解説

モンタージュについては、頭部の電極で左半球のもの(数字が奇数)は左耳朶(A1)、右半球のもの(数字が偶数)は右耳朶(A2)、正中部はどちらとも言えないため左右交互につながっています。同側耳朶を基準とする基準導出です。

後頭部に着目します。O1-A1とO2-A2をみると、赤い四角で囲んだように、サイン波様の規則正しい波が出ています。このようにある程度規則的に繰り返すものを律動(リズム)と呼びます。周波数は8-9Hzで、これはα帯域(8Hz以上、13Hz以下)に含まれますので、α律動(alpha rhythm)です。振幅は50-100µV強といったところで、他の部位ではここまで高くありません。つまり後頭部優位性があるということです。

所見としては、「両側後頭部優位に50-100µV、8-9Hzのα律動が出現している」と記載します。正式な報告書ではもっと詳しく記載しますが、それはまた後日。

後頭部にα律動がみられるということは、覚醒を示す根拠になります。α律動は、安静、覚醒、閉眼という3つの条件がそろって出現するからです。

20170201_1

赤丸で示された下方向の大きな振れですが、前頭極部(Fp1、Fp2)が主体です。前頭部(F3、F4)でも少し拾ってはいますが。これは典型的な瞬目によるアーチファクトなので、波形をよく覚えておかれるとよいと思います。

瞬目によるアーチファクトが眼瞼の動きで起こるのではないか?という質問を受けることがありますが、眼瞼の動きではありません。筋肉の収縮による活動はもっとも短くて鋭く、「一瞬」なのです。

瞬目した際には、眼球がちょっと動きます。目を閉じると、みんな眼球が上に動きます。これは、ベル現象と呼ばれます。目を開けると、正面に戻ります。つまり、瞬きをすると、ごく短時間だけ眼球が上に行き、下に戻るということになります。

眼球は電荷を帯びています。網膜がマイナス、角膜がプラスです。簡単に言えば、眼球の前側がプラスです。

瞬きすると、眼球の前側(プラス)が短時間上に動いてFp1、Fp2電極に近づきますので、Fp1、Fp2の電位がプラス側に振れます。脳波では、陰性を上向きに表示するルール(negative up)ですので、Fp1とFp2の波形は下方向に振れることになります。直後に眼球は下に戻りますので、Fp1、Fp2電極から眼球のプラスが離れていき、Fp1、Fp2の電位は元に戻ります(マイナス側に戻る)。すると、脳波の波形は上向きに振れます。結局、1回瞬きすると、Fp1とFp2では脳波が下に振れて上に戻る、という形になります。

最後に青い丸ですが、1つおきに赤色の線(右半球)の電極では全部に下向きの振れが入っています(丸は上の4つにしかしていませんでしたが)。この場合、これら全部に共通している電極であるA2、つまり右耳朶の電極の影響が考えられます。ヒントとして、下から2番目(心電図の上)に耳朶同士を結んだ記録(A1-A2)を入れておきましたが、これでもよく似た波形が入っており、A2由来の波形だと推測できます。

このように、同側耳朶を基準とした左右交互表示の基準導出で、1つおきによく似た波形がみられた場合には、まず耳朶電極由来の波形(多くはアーチファクト)を疑います。

これが脳波活動でないことは、モンタージュを変えれば簡単に分かります。例えば、縦連結の双極導出。

20170201_2

この表示では、耳朶電極が含まれておらず、右半球にみられたカクンとした動きは見えなくなっています。

というわけで、今日のまとめは、

探せ、後頭部のα律動。

まばたきでは眼球が動き、脳波で見える。

基準導出で一側半球全体の活動では、耳朶電極をチェック。

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