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2017/02/01

脳波クイズ A2

前回の解答です。

レベル的には、3辺りでしょうか。

A2.

1. 同側耳朶を基準とした基準導出(Referential montage)です。

2. 覚醒時記録です。

3. 瞬目(まばたき)によるアーチファクトです。眼球運動によって起こります。

4. 右の耳朶電極(A2)由来のアーチファクトです。

解説

モンタージュについては、頭部の電極で左半球のもの(数字が奇数)は左耳朶(A1)、右半球のもの(数字が偶数)は右耳朶(A2)、正中部はどちらとも言えないため左右交互につながっています。同側耳朶を基準とする基準導出です。

後頭部に着目します。O1-A1とO2-A2をみると、赤い四角で囲んだように、サイン波様の規則正しい波が出ています。このようにある程度規則的に繰り返すものを律動(リズム)と呼びます。周波数は8-9Hzで、これはα帯域(8Hz以上、13Hz以下)に含まれますので、α律動(alpha rhythm)です。振幅は50-100µV強といったところで、他の部位ではここまで高くありません。つまり後頭部優位性があるということです。

所見としては、「両側後頭部優位に50-100µV、8-9Hzのα律動が出現している」と記載します。正式な報告書ではもっと詳しく記載しますが、それはまた後日。

後頭部にα律動がみられるということは、覚醒を示す根拠になります。α律動は、安静、覚醒、閉眼という3つの条件がそろって出現するからです。

20170201_1

赤丸で示された下方向の大きな振れですが、前頭極部(Fp1、Fp2)が主体です。前頭部(F3、F4)でも少し拾ってはいますが。これは典型的な瞬目によるアーチファクトなので、波形をよく覚えておかれるとよいと思います。

瞬目によるアーチファクトが眼瞼の動きで起こるのではないか?という質問を受けることがありますが、眼瞼の動きではありません。筋肉の収縮による活動はもっとも短くて鋭く、「一瞬」なのです。

瞬目した際には、眼球がちょっと動きます。目を閉じると、みんな眼球が上に動きます。これは、ベル現象と呼ばれます。目を開けると、正面に戻ります。つまり、瞬きをすると、ごく短時間だけ眼球が上に行き、下に戻るということになります。

眼球は電荷を帯びています。網膜がマイナス、角膜がプラスです。簡単に言えば、眼球の前側がプラスです。

瞬きすると、眼球の前側(プラス)が短時間上に動いてFp1、Fp2電極に近づきますので、Fp1、Fp2の電位がプラス側に振れます。脳波では、陰性を上向きに表示するルール(negative up)ですので、Fp1とFp2の波形は下方向に振れることになります。直後に眼球は下に戻りますので、Fp1、Fp2電極から眼球のプラスが離れていき、Fp1、Fp2の電位は元に戻ります(マイナス側に戻る)。すると、脳波の波形は上向きに振れます。結局、1回瞬きすると、Fp1とFp2では脳波が下に振れて上に戻る、という形になります。

最後に青い丸ですが、1つおきに赤色の線(右半球)の電極では全部に下向きの振れが入っています(丸は上の4つにしかしていませんでしたが)。この場合、これら全部に共通している電極であるA2、つまり右耳朶の電極の影響が考えられます。ヒントとして、下から2番目(心電図の上)に耳朶同士を結んだ記録(A1-A2)を入れておきましたが、これでもよく似た波形が入っており、A2由来の波形だと推測できます。

このように、同側耳朶を基準とした左右交互表示の基準導出で、1つおきによく似た波形がみられた場合には、まず耳朶電極由来の波形(多くはアーチファクト)を疑います。

これが脳波活動でないことは、モンタージュを変えれば簡単に分かります。例えば、縦連結の双極導出。

20170201_2

この表示では、耳朶電極が含まれておらず、右半球にみられたカクンとした動きは見えなくなっています。

というわけで、今日のまとめは、

探せ、後頭部のα律動。

まばたきでは眼球が動き、脳波で見える。

基準導出で一側半球全体の活動では、耳朶電極をチェック。

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