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2017/01/11

立体角(続き)

前回、立体角を使うと脳波のspikeの電流源と頭皮上での分布の関連性が理解しやすくなると書きました。

脳波のspikeの電流源を双極子(近い距離にプラスとマイナスの電荷がある、英語はdipole)に例えることがよくあります。実際には、電流源は点ではなく、ある程度の拡がりを持ちますが、今回はそれについては考えません。

何故双極子に例えるかというと、てんかん発射の際に、錐体ニューロンではPDS(paroxysmal depolarization shift)という脱分極が起こっているのですが、通常は錐体ニューロンの脳表側(樹状突起)がマイナス、深部(細胞体)がプラスになるのです。

なので、てんかん発射は通常は脳表で陰性です。

さて、この双極子をディスクに例えます。マイナス側を青色、プラス側を赤色としましょう、これを電流源の位置に電流源の向きに置きます。てんかん発射の振幅が大きければ、ディスクの直径を大きくしましょう。

次に、脳波の各電極の位置(点)から、ディスクの色が何色でどのくらいの大きさに見えるか調べます。ここで、立体角が出てきます。ディスクに近づけば近づくほど、ディスクは大きく見えますね。これは、電極の点を頂点とした時のディスクが作る立体角が大きくなるからです。つまり、見かけの大きさが大きくなるのです。

でも、ディスクに対して垂直方向からではなく、斜め方向からみると、距離が同じであってもディスクの見かけ上の大きさは小さくなります。立体角が小さくなるのですね。ディスクの真横に行くと、赤い面も青い面も見えません。立体角はゼロになるわけです。

各電極でのspikesの極性はディスクの色、振幅はディスクの見かけ上の大きさ(立体角に比例)で決まります。以下の図をご覧ください。

20170110

上側は電流源の向きが脳表に対して垂直の場合、下側は脳表に対して平行の場合です。

上側はシンプルですね。電流源の直上でspikeの振幅が最大です。

下側は単純ではありません。電流源の直上では何も見えないのです。そして、離れた電極にマイナスとプラスが見える。脳表ってマイナスだからこんなことは起こるの? と思われるかも知れませんが、脳溝に面している脳回は脳表に対して垂直方向を向いていますので、このようなことが起こります。ローランドてんかんなどでよく見られるパターンで、ローランド棘波では中心側頭部がマイナス、前頭部がプラスになります。

なので、下の図のように、電流源は何も見えない所の直下にある場合もあるのです。

トロントのO2先生曰く、

Spikeの出ている所だけを見るのはneurologist(神経科医)、spikeの電流源の位置を考えながら脳波を読むのがclinical neurophysiologist(臨床神経生理学者)

とのことです。

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