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2016/11/26

抗てんかん薬の始め時

抗てんかん薬は発作原性を抑える。てんかん原性は抑えない。

抗てんかん薬は発作を治療するための薬。脳波を治療するための薬ではない。

といったことを前回書きました。

言い訳をしておきますが、分かりやすくするために、かなり白黒はっきりつけています。現実の世界は、こんなに単純ではないのですが...

てんかんの治療に関して、この原則をどう適用するのでしょうか?

前回も書きましたが、脳波でてんかん発射があっても、発作がなければ治療は不要です。治療の対象が存在しないわけですから。そもそも、てんかんですらないのですが...

いやいや、てんかん発射だけあっても、薬を飲んでおけば将来起こり得る発作の予防効果はあるんじゃないの? という意見がありそうです。

それは否定しません。ですが、いくつかの理由で私は反対します。

1. そもそも予防できるのか?

てんかんの診断がついた方でも、合うと思って処方した最初の薬が効くのは半分強です。裏を返せば、半分弱はハズレです。発作がまだ起こっていない方ではハズレが半分から2割くらいに下がりますとは、とても言えません。頑張って飲んでもハズレの可能性はそこそこある。そして、ハズレであれば頑張ったのは無駄だったということになります。

2. 薬を飲むことのデメリット

薬は100%安全ではありません。色々な副作用があります。運悪く重篤な副作用が出る可能性があります。毎日飲む必要がありますし、お金もかかる。よく分からないなら薬を処方しておくという考えの方は、このデメリットを軽視し過ぎています。

3. 止める時が分からない。

発作はもともとない。でも、てんかん発射がある。薬を始めて、てんかん発射が消えなかったら、一生薬を飲むのでしょうか? 治療のターゲットを適切に設定せずに薬を始めてしまうと、止め時が分からなくなってしまいます。

次に、誘因のない発作を繰り返し、てんかんと診断がついた場合です。

この場合、発作予防のメリットが充分あるなら、抗てんかん薬を開始します。

発作に効き脳波に効かない薬なのですから、発作が止まれば治療目的を達したことになります。てんかん発射を薬で消し去る必要はありません。これが原則です。

治る運命のてんかんであれば、お薬で発作が長期間起きないようにしていれば、脳波異常は徐々に治まってくることが多いです。これをじっくり待つということです。

「ふつうの」てんかんは、これで十分です。

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