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2016/11/17

てんかん原性と発作原性

てんかんは、てんかん発作を繰り返し起こす慢性の脳疾患です。

この慢性の脳疾患という言葉が肝で、急性疾患ではない、ということです。

気管支喘息の方が、ゼーゼー、ゴホゴホを喘息の発作を繰り返し起こします。これが慢性疾患。気管支炎は急性疾患なので、ゴホゴホしていても、その時限りです。

てんかん原性発作原性という言葉があります。

日本語はちょっとしっくりしません。英語だと、epileptogenesisictogenesisです。

てんかん原性とは、健康な脳が、てんかん発作を繰り返し起こしやすくなるように変わっていく病的な過程です。発作を起こしやすくなるような異常な回路が徐々に脳に出来上がってくる、というイメージです。

発作原性とは、発作をしていない状態(発作間欠時)から発作をしている状態(発作時)にスイッチが切り替わることです。てんかん患者さんは、ふだんは発作はしておらず、ふつうの方です。ところが、突然発作が起こる。これは、発作原性によってスイッチが切り替わるからです。

低血糖で発作が起こりますが、これは低血糖による発作原性で発作が起こるのです。でも、てんかん原性はここにはないので、低血糖という誘因を取り除けば、発作を繰り返すことはありません。脳自体は病気ではないのです。これが、急性症候性発作です。

てんかんが治るということは、どういうことか?

これは、てんかん原性が治まること、言い換えれば、脳内の発作を起こすような異常な回路が消えることを意味します。

前回の話に戻りますが、現在市販されている抗てんかん薬で、てんかん原性を抑える作用が証明されているものはありません。なので、抗てんかん薬では、てんかんは治らないのです。

抗てんかん薬は発作原性に対して効きます。つまり、発作にスイッチが切り替わらないようにするためだけの薬、というのが抗てんかん薬の正体です。抗発作薬と呼ぶべきだ、対症療法の薬だという意見があるのは、そのためです。

では、何故抗てんかん薬を飲んで治療するのかといいますと、

てんかん発作が日常生活の質を損なうから。

てんかん発作のない状態を維持することで、自己治癒力でてんかん原性が徐々に下がることが期待できるから

です。

つまり、抗てんかん薬で治療するということは、発作が起きないようにして、患者さんが自己治癒力を最大限に発揮できるようにしましょう、ということなのです。

患者さんに話をするときは、「お薬で2-3年発作を押さえて、脳が発作の起こし方を忘れてくれるのを待ちましょう」というような言い方で説明するようにしています。

抗てんかん薬が本質的に対症療法の薬だということを理解すれば、てんかん診療上の疑問が色々と解決できます。これについては、また後日。

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