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2016/11/13

5-メチルテトラヒドロ葉酸(5-MTHF)はMTHFR欠損症の葉酸補充に有効か

メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)欠損症の方で、5-メチルテトラヒドロ葉酸(5-MTHF)の補充により、髄液中5-MTHFが上昇したという症例報告が出版されました。

JIMD Rep 2016; 29:103-107.

葉酸とフォリン酸(商品名:ロイコボリン等)では髄液中5-MTHFが上昇しなかったが、5-MTHFでは上昇したとのことです。

理屈を考えれば、そうなるはずなのですが、実際そうなったという報告は大切です。

葉酸代謝の回路図は以下の通り。

20150809_2

葉酸もフォリン酸も5-MTHFになるためにはMTHFRが必要なのですから、MTHFR欠損症で効かないのは、ある意味当たり前。もちろん、酵素活性がある程度残っていれば話は別ですが、流れはきっと悪いでしょう。

MTHFR欠損症では、ベタインが有効とされています。5-MTHFが欠乏すると、ホモシステインからメチオニンが作れなくなるのですが、ベタインを使うと別の酵素を使うことができるわけです。

しかし、ベタイン自身は脳内に入れません。血液脳関門を簡単に通れないからです。おそらくはベタインの作用で血液中に増えたメチオニン等が血液脳関門を通って入り、働いてくれているのだろうと考えられています。

一方、5-MTHFは葉酸受容体αというトランスポータがありますので、入ることができる。それが、今回の報告につながったということになります。

MTHFR欠損症の治療としては、ベタイン、葉酸やビタミンB12の補充を行う、と成書に記載されていますが、今後は葉酸は5-MTHFにとって代わられる可能性があります。

問題点としては、5-MTHFは海外でサプリしか販売されていないことです。医薬品ではないし、日本ではサプリとしても売っていない。

安定性としては、葉酸 > フォリン酸 > 5-MTHFですが、医薬品品質の5-MTHF製剤が開発されれば、葉酸、フォリン酸に置き換わるだけのインパクトがあると思います。

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