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2015/07/27

てんかん診療における脳波の役割

月初めに記事を書いたかと思ったら、もう月末になっていました。

先月中旬から今まで、色々と忙しかったです。本職もありますが、依頼講演と学会発表が重なっており、仙台、東京、鹿児島、新潟などあちこちへ行きました。でも、自分の考えをあちこちでお話しさせていただけるのは、たいへんありがたいことだと思います。

先週末は西新潟中央病院の夏期セミナーで講演をしてきました。西新潟中央病院は、てんかんセンターとして有名な所で、特に視床下部過誤腫の熱凝固療法については世界トップレベルの実績があります。講演は2部構成で、前半は「てんかん診療の基本 - 脳波検査の役割」、後半は「てんかん診療の応用 - 難治例への対応」という45分ずつのものを行いました。

てんかんに診療における脳波検査の役割で強調したのは、脳波の限界を知ること発作時脳波検査の有用性についてでした。

どんな臨床検査でも限界があります。感度特異度という概念については、医学部で教育されますが、100%という検査はありません。特に、脳波は感度も特異度も100%にはほど遠いのです。

こういう検査は使い方に注意が必要です。てんかんではないかと思われる患者さんで、脳波の検査を行う。発作の病歴に矛盾しない異常所見(てんかん性発射)があれば、脳波はてんかんの診断を支持する。こういった使い方であれば、脳波はてんかんの診断のために最も有用な検査です。

「てんかんではないだろうけど念のため」「よく分からないから一応」と思って脳波をとると、ドツボにはまります。脳波は、何も教えてくれません。てんかんでなくても、てんかん性発射が出る人はいますから

てんかんは臨床診断ですから、病歴優先です。きっちりした発作の病歴がとれてこそ、てんかんの診断がうまくなりますし、脳波もきっちり活用できるのです。病歴に合わない脳波異常がみられた場合、即てんかんと診断してはいけません

いいかげんな病歴で、よく分からないままに脳波検査をオーダーする。てんかんでない人にたまたまてんかん発射がみられたため(てんかん発射でないものをそうだと誤認することもある)、てんかんと「診断」し、薬を始めてしまう。薬が効かないので、「難治」なてんかんとして専門医に紹介される。このような最悪なストーリーは時々耳にします。

「てんかん」の診断については、非常に慎重であるべきです。生半可な考えで診断をつけてはいけません。治療するなら数年以上かかりますし、運転免許の取得にも条件がつきますし、生命保険の敷居も高くなる。どんな病気でもですが、正しく診断すること(てんかんはてんかん、そうでないものはそうでない)は非常に大切です。

もちろん、診断が難しい事例は存在しますので、なかなかクリアカットにいかないことは多いです。ですが、自分が指示して行う検査の限界については、医師は十分な知識を持っておく必要があります

クリアカットにいかない事例の場合、発作時脳波検査が有用です。これについては、過去に書いたと思いますので、今回は書きません。

脳波をあてにするな!

と僕はよく言います。これは、アンチテーゼのようなものですが、使い方を間違えれば、脳波は役に立つどころか、むしろ有害なことすらあります。しかし、きっちり使えば、非常に役立つ検査だと思います。

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