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2015/05/25

二次性両側同期

てんかん発作には、全般発作焦点発作があります。

ざっくばらんに言えば、全般発作は発作の最初から両側の大脳で発作活動が起こるもの、焦点発作は発作の最初は片側の大脳で発作活動が起こるものです。

※ 今は、これらの定義は必ずしも正しくありません。いずれ述べます。

これに対応して、脳波での発作間欠時てんかん性発射(発作をしてない時にみられる脳波異常)も両側または片側に出ます。両側に同期して(左右同じタイミングで)出ていれば、その方は全般発作を示すてんかんの可能性が高いです。このような脳波所見の代表は、全般性3Hz棘徐波複合(generalized 3Hz spike-wave burst)です。

※ 全般発作を示すてんかんと書きましたが、以前は全般てんかんという言葉がありました。この言葉はもう古い用語になっています。

ところが、焦点発作を示すてんかんでも、脳波では左右同期性、全般性のてんかん性発射がみられることがあります。このような場合、よーく見ると、左右同期性発射のスタート部分で、片側からの発射が先行していたりします(リードイン)。このように、脳の一部からてんかん性発射が始まるにもかかわらず、とても速く全体に広がるために左右同期性に見えるものを二次性両側同期と呼びます。これは、全般発作を示すてんかんとは厳密に区別する必要があります。

スタート部分ではっきりした片側の先行がみられなくても、一見左右同時に出現している波形を画面を引き延ばして詳細に分析すると、片側が数十ミリ秒先行していることがあります。これも二次性両側同期です。半球間微小時間差と呼びますが、10数ミリ秒もあれば、りっぱな二次性両側同期です。

この二次性両側同期が大切なわけは、一見全般性発射であっても、右か左か特定の半球が一貫して先行していれば、そちらの大脳半球に対しててんかん外科を行うという選択肢が生まれるからです。

ミオクロニー発作と言えば、主に全身がビクンと動く全般発作の代表ですが、私は二次性両側同期によるものを経験したことがあります。脳波は両側同期性のてんかん性発射が見られましたが、明瞭な片側からの発射はみられませんでした。しかし、頭蓋内脳波で細かく調べてみると、この方の発作は左前頭葉由来でした。結局、左前頭葉切除術で発作は完全抑制されました。

このように、一見全般発作に見えても、焦点切除術が行える方はおられます。このような患者さんを見出すには、そうではないかと疑ってよく見なければなりません。

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コメント

はじめまして。
広島県のなっとうです。
いつもブログ拝見させていただいています。
勉強になる事ばかりです。

先生、お時間があるときにご教授頂ければ
幸いです。

症状はBECTSなのですが、脳波をとってみると
SBSしている症例に時折出くわします
後頭葉てんかんでも経験あります。
先週経験した症例(6歳女児)では、
BECTSを疑わせる口部違和感→全身性痙攣で
救急搬送されました。
脳波をとってみると中心側頭部より鋭波を認め
頻回に二次性両側性同期し、入眠すると
CSWS様にperiodicに頻繁に
異常波出現しています。
まだ非定型欠神発作や陰性ミオクローヌスは認めて
いないようです。
このような場合、先生は抗てんかん薬は何を
選択されますでしょうか。
やはり二次性両側性同期した場合にはVPAが
妥当なのだとは思うのですが…
先日愛知のO先生の講義を受ける機会があり、
相談したところ
O先生はACTHやベンゾジアゼピン系を考慮する
との事でした。
長文ですいません。
お時間のある時に教えていただければ幸いです。

投稿: なっとう | 2015/11/24 20:38

なっとうさん

BECTSやPanayiotopoulos症候群で、睡眠中に脳波がCSWS様になる事例は時に経験します。BECTSで始まって脳波がCSWSになり、欠神や陰性ミオクローヌスが出てくれば、非定型良性小児部分てんかん(ABPE)ですが、そこまでは至らない例もあります。

脳波がCSWS様だと思った場合、まず確認することは、本当にCSWSなのかということです。双極導出の他、基準電極導出の場合、高振幅の発射による見かけ上の拡がりを消し去るために基準電極をSDに変更したりして調べます。

CSWSだと考えた場合(spike-wave index 85%の基準にこだわる必要はありません。ABPEでもspike-wave indexが4割くらいのことはよくあります)、カルバマゼピンをもし使っていたらなら中止して別のお薬に替えることを考えます。

使うお薬ですが、私はまずバルプロ酸を使います。

コテコテのCSWSで、発作も多く、認知面の問題が明らかな状態であれば、ステロイドやベンゾジアゼピン大量がよいと思いますが、その前に少なくともエトスクシミドを私か重ねます。劇的に効く事例があるからです。強い根拠は示せませんが、バルプロ酸とエトスクシミドにはシナジー効果があるように感じています。

脳波がCSWSに近い状態程度で、発作はなく認知面の問題もはっきりしない場合(厳密には神経心理学的検査が必要でしょうが)、私はステロイドやベンゾジアゼピンは後回しにしてスルチアム(これも劇的に効く事例があります)やレベチラセタムを使います。

投稿: あきちゃん | 2015/11/24 22:07

先生ご多忙のところ、
ご丁寧にありがとうございます。
やはり勇気を出して(笑)ご相談させて
頂いてよかったです。
基準電極をSDは今後も迷った時に使用して
みようと思います。
また、何かあればお手数をおかけしますが
コメントさせて頂けたら幸いです。
そしていつか先生と直接お会いしてお話できる
日を期待して日々、勉強して成長していきたいと
思います。
ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

投稿: なっとう | 2015/11/24 22:58

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