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2015/01/08

先天性代謝疾患12

久しぶりに代謝疾患の話です。

今回は、ピリミジン代謝異常症についてです。

ピリミジンと呼ばれる化合物のグループは、プリン(ビールの広告などにあるプリン体のこと)とともに、DNAやRNAを構成する大切な物質です。

ピリミジンの中でも、チミンとウラシルの分解には、ジヒドロピリミジン脱水素酵素ジヒドロピリミジナーゼβ-ウレイドプロピオナーゼという3段階の酵素があります。どこかで欠損が起きると、ピリミジンの代謝に問題が生じます。

症状としては、どれも似通っており、てんかん、自閉症、知的障害、筋緊張低下、小頭などです。乳児期早期に発症する重篤な例もあれば、無症状の場合もあるようで、症状にかなりの幅があります。特異的な症状はありませんので、これらの疾患を疑って調べない限りは見つけられないと思います。

特に、β-ウレイドプロピオナーゼ欠損症は日本人では頻度が高めらしく、遺伝的見地からは6000人に1人程度と推定されています。ところが、現時点では10数名の報告しかありません。おそらくは、かなりの見逃し例があるものと推測されます。

これらの疾患は、尿中ピリミジン分析で見つけられます。分析可能な施設は国内にいくつかあります。

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コメント

初めまして。息子がこの病気の疑いがあり検査をしようとしているところです。不安しかありません。治療法はあるのでしょうか?ある場合はどういうものでしょうか。お分かりになる範囲で教えていただけだらと思い投稿しました。
元々持病があり、定期検査で今回精密検査になりました。症状は今のところないように感じております。
よろしくお願いいたします。

投稿: ブルーホーム | 2018/07/01 21:32

ブルーホームさん、こんにちは。

息子さんが、この病気(β-ウレイドプロピオナーゼ欠損症ですか?)の可能性があるとのことなのですね。

上に色々と書きましたが、どこまでこの病気の症状かは分かっていません。症状のない方もわりとおられるからです。

ピリミジン代謝異常症で気をつけるのは、以下の点です。

ジヒドロピリミジン脱水素酵素欠損症、ジヒドロピリミジナーゼ欠損症では、抗がん剤である5-FUの重篤な副作用が出やすいことが報告されています。5-FUの分解経路の異常だからです。β-ウレイドプロピオナーゼ欠損症では、まだその報告はなかったと思います。

副作用が出やすいというのを簡単に説明しますと、日本人はアルコールの弱い人が多いことが知られています。これは、アセトアルデヒド脱水素酵素の活性が低く、アルコールから作られるアセトアルデヒド(二日酔いの原因)がなかなか分解されないからです。上記の5-FUの副作用がピリミジン代謝異常症の方で出やすいのもよく似た理由です。

息子さんに今後何らかの症状が出てくるかどうかは正直分かりません。無症状例がわりとありますので、症状が出ない可能性も十分あります。

一方、運悪く抗がん剤の治療が必要になった場合、5-FUに対しては注意しておく必要があります。危険な橋は渡りたくないので、主治医に必ず伝える必要があります。

私は、症状がない方でこれらの病気が見つかった場合、「使ってはいけない薬があるのが前もって分かった」と説明し、前向きにとらえていただくことにしています。

投稿: あきちゃん | 2018/07/02 08:42

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