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2014/09/15

てんかんの誤診の起こるワケ

難治てんかんの精査依頼で来られる患者さんのうち、地域にもよりますが、1割くらいは実はてんかんではありません。つまり、誤診です。

難治てんかんと思われる患者さんを診た場合、まずすべきことは、てんかんの診断の再確認です。何故なら、てんかんでは誤診がわりと起こりやすいからです。

てんかんで誤診が起こりやすい理由にはいくつかあります。

てんかん専門医が不足していること
患者の症状(てんかん発作)を医師が目撃する機会が少ないこと
病歴聴取で得られる発作症状は本人または目撃者からの伝聞情報であること
てんかん発作の症状が非常に多彩であること
てんかんと紛らわしい症状を示す病態が多くあること
脳波をきっちり判読できる医師が少ないこと
脳波所見を病歴や症状と関連付けて適切に解釈できる必要があること
通常の脳波では発作の記録が含まれていないこと

てんかん発作を目撃したことのある医師はそう多くありません。てんかんは発作性疾患なので、ふだんは患者さんは健常人と区別がつきません。

なので、てんかんの病歴を聞き取る際には、患者本人や目撃者からの情報が必須です。しかし、彼らは自分にとって重要だと思われることについては話してくれますが、医師にとって重要な情報は必ずしも話してくれません。もちろん、こちらからも質問はしますが、そもそも重要と考えなかった事柄は観察・記憶していないということがよくあります。発作症状は最初が一番重要ですが、途中から気付かれた場合には、その情報は得られません。また、同じ症状を見たとしても、みんなが同じ言葉で表現するとは限りません。その言葉を別人である医師が受け取り、自分たちの解釈(色眼鏡ともいう)でカルテに記載しますと、伝言ゲームのように全く違った情報になってしまったりします。

てんかん発作の症状は非常に多彩です。てんかん発作型分類を見ると、とてもたくさんのタイプに分かれています。これらをよく覚えておかないと、症状を発作と認識できないことすらあります。1つのヒントは、患者が異なれば発作症状も異なりますが、個人個人の患者レベルでは、発作症状はある程度一定だということです。

てんかんと区別すべき病態はいくつもあります。これについても勉強するしかありません。

脳波については前の記事に書きましたが、まずきっちり正常異常の解釈ができることを前提として、それを病歴や症状と結び付けて適切に解釈できる必要があります。というのも、脳波にてんかん発射があってもてんかんでない場合や、てんかん発射がなくてもてんかんである場合があるからです。

脳波中にてんかん発作が起こる可能性はそう高くはありません。一番有用な情報が得られるのは発作時脳波(発作をしている最中の脳波)です。しかし、多くの脳波では発作は記録されていないので、脳波異常がみられたとしても、それは蜃気楼のような影にすぎません。

こういった事情が絡み合って、てんかんの誤診が生まれます。よくあるパターンは、不十分な病歴聴取に脳波の誤読(正常波形を異常と解釈)が重なり、てんかんでないものをてんかんと診断してしまう場合です。

誤診は一定の確率で発生します。てんかんは、上記の理由で、他の疾患よりもその率は高いのではと思います。自分だって例外ではありません。セーフティネットが必要ですが、私が強く言いたいのは、難治てんかんは精査するです。つまり、薬を2-3つ試してみて発作が止まらない場合、一度立ち止まり、診断の見直しを含めて詳細に検討するのが大切です。精査なしで、ダラダラ薬で引っ張る診療はお勧めできません。

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