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2014/07/13

抗てんかん薬を処方するワケ

抗てんかん薬を処方する理由ですが、自分の中では以下のあたりが理由かと思います。

  1. 患者がてんかん発作を有すること
  2. 発作が予見不可能であること
  3. 発作によりもたらされる不利益が大きいこと
  4. 本人、家族が発作の再発予防を強く希望されていること
  5. 薬を内服する利益が、薬を内服する不利益を上回ること

この基準に、てんかんの診断や脳波でのてんかん発射が入っていないことに注目してほしいです。

1.に「てんかん発作」と書いてあるじゃないかという突っ込みがありそうですが、

てんかん発作は、てんかん以外でも起こります。

例えば、熱性けいれん。熱性けいれんの発作は、てんかん発作です。てんかん発作の定義については、過去に書いています。

上記の説明ですが、

1.は、抗てんかん薬の治療ターゲットはてんかん発作ですから当然です。

2.は、発作がいつ起こるか分からないから、毎日薬を飲んで発作を予防する必要があるということです。例えば、熱性けいれんの場合、発作は発熱時にしか起こりませんから、再発予防の対処をしたい場合は発熱時にのみ行えばよいことになります。原則的に毎日の内服は不要です。一部の例外として、発熱からほとんど間もなく発作が出る熱性けいれんの方がおられます。この場合は、発作の予見不可能性が高まりますので、話が変わってきます。

3.は、発作症状やてんかんのタイプと関係してきます。発作症状による危険が少ない場合、てんかんのタイプが良性のもので、発作回数が少なく、自然治癒傾向が強いものの場合など、ご家族と相談して、内服治療を始めない場合があります。

4.は、3.とも関連します。これは発作による危険はもちろんのこと、運転免許などの法的な問題も関係してきます。

5.も大切です、といいますか、医療の基本だと思います。1-4を総合的に考え、ここに薬の副作用、経済的コストなども含めて決めるべきです。毎日数年間内服するのは非常に煩わしいですし、抗てんかん薬は100%安全ではありません。極めて稀ですが、命取りになる副作用だってあるのです。

てんかんで抗てんかん薬が処方されるのは、大部分の事例に置いて、上記の基準を満たすからです。

「てんかんだから内服する」「脳波異常があるから内服する」のではありません。過去にも書きましたが、抗てんかん薬は対症療法としての薬(発作が起きないようにしのぐための薬)であり、脳の異常を根本的に直す力(抗てんかん原性)はありません

発作がいつ起きるか分からない、そして発作によりもたらされる不利益が大きいため、発作を抑えるために抗てんかん薬を使います。脳の異常が治るのは、患者さんご自身の力です。だから、治療に時間がかかりますし、子どもの方が大人よりも治りやすいということになります。

最後に例外を書いておきます(何にでも例外はある)。

それは、てんかん性脳症です。てんかん性脳症では、治療のターゲットは発作と脳波異常の両方です。理由は、てんかん性脳症が「てんかん発作だけではなく、脳波異常そのものが脳機能に悪影響を及ぼす状態」だからです。なので、脳波異常も治療しないといけません。

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