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2014/04/23

てんかんの定義

国際抗てんかん連盟(ILAE)より、機関誌であるEpilepsiaに、てんかんの新しい定義文が出版されました。

概念的には、2005年の定義文があるのですが、今回はもう少し実際的な定義文のようです。

ちなみに、2005年には、てんかん発作とてんかんの定義が書かれています。

まずは原文です。

An epileptic seizure is a transient occurrence of signs and/or symptoms due to abnormal excessive or synchronous neuronal activity in the brain.

Epilepsy is a disorder of the brain characterized by an enduring predisposition to generate epileptic seizures and by the neurobiologic, cognitive, psychological, and social consequences of this condition. The definition of epilepsy requires the occurrence of at least one epileptic seizure.

和訳はこちら。

てんかん発作は、脳内の異常に過度の、または同期的な神経細胞の活動による一過性の徴候および/または症状の発現である。

てんかんは、てんかん発作を起こす持続的傾向と、その状態による神経生物学的・認知的・心理的・社会的帰結によって特徴づけられる脳の障害である。この定義では、てんかん発作が少なくとも1回起こることが必要である。

てんかん発作(症状)とてんかん(疾患)という用語はよく混同して使われますが、上記の如く、別物です。てんかんではてんかん発作は起こりますが、てんかん発作はてんかん以外でも起こります。例えば、熱性けいれんの発作も、定義上はてんかん発作です

ちょっと横にそれましたが、今回出たてんかんの実際的、臨床的な定義文は以下の通り。

まずは原文です。

Epilepsy is a disease of the brain defined by any of the following conditions

1. At least two unprovoked (or reflex) seizures occurring >24 h apart

2. One unprovoked (or reflex) seizure and a probability of further seizures similar to the general recurrence risk (at least 60%) after two unprovoked seizures, occurring over the next 10 years

3. Diagnosis of an epilepsy syndrome

Epilepsy is considered to be resolved for individuals who had an age-dependent epilepsy syndrome but are now past the applicable age or those who have remained seizure-free for the last 10 years, with no seizure medicines for the last 5 years.

和訳してみます。

てんかんは、以下の条件のいずれかによって定義される脳疾患である。

1. 24時間を超える間隔で起こった2回の非誘発性(または反射性)発作

2. 1回の非誘発性(または反射性)発作があり、発作再発率が2回の非誘発性発作が起こった事例での一般的な再発リスク(少なくとも60%)と同程度な状態が今後10年間にわたり続くこと

3. てんかん症候群の診断

てんかんは、年齢依存性のてんかん症候群を有していた患者が該当する年齢を過ぎた場合、または過去10年に発作がなく最近5年間に抗てんかん薬を服薬していない場合には、解消されたと考えられる。

Epilepsiaの記事には、細かい解説が書いてあります。

1.は、今までも使われていた定義です。

2.は、2005年の概念的な定義で、発作は最低1回必要で、「てんかん発作を持続的に起こす傾向」という表現をより具体的に書いたものです。つまり、発作は1回だけど、2回目がくる確率が高い状態ということです。

3.は、例えば、Panayioropoulos症候群(長い名前ですね)のように、発作が生涯に1回しか起こらないことが多いてんかん症候群が、てんかんではありませんということになってしまうと困るので、整合性を保つために入れてあります。

実際の診療の場では、上の2番の、再発率をいかに見積もるかが課題になってくると思います。

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