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2014/04/21

デジタル脳波の基本8 - アンチエイリアシングフィルタ

前回、フィルタについて書きましたが、その最後の部分で、フィルタの傾斜(鋭さ)について触れました。

カットオフ周波数の前後で透過率が0%、100%というようにクリアカットには変化しないということでしたが、アンチエイリアシングフィルタの設定にこれが関係してきます。

ここで復習です。

デジタル信号記録を行う際、サンプリング定理というのがあります。デジタル信号では、サンプリング周波数(1秒間にデータを記録する回数)の半分の周波数以下の信号しか再現できないというものです。この半分の周波数が、Nyquist(ナイキスト)周波数と呼ばれるのでした。

Nyquist周波数を超える波が元の波形に含まれていた場合、これをそのままデジタル記録(サンプリング)しますと、Nyquist周波数より低い周波数の偽の波として現れるのでした。これをエイリアシングと呼びます。

元々存在しない周波数の波が偽者として現れるのは好ましくありませんので、エイリアシングを避けるため、元の波からNyquist周波数以上の波をフィルタで除去し、それからサンプリングを行います。この目的で使うフィルタをアンチエイリアシングフィルタと呼びます。

Nyquist周波数以上の波を取り除くわけですから、アンチエイリアシングフィルタはローパスフィルタです。では、そのカットオフ周波数はいくらになるのか?

通常、アンチエイリアシングフィルタのカットオフ周波数は、サンプリング周波数の1/4~1/3程度に設定されています。カットオフ周波数をNyquist周波数(サンプリング周波数の1/2)に設定した場合、フィルタにはある程度なだらかな傾斜がありますので、Nyquist周波数以上の波もある程度残ってしまいます。これでは、意味がありません。そのため、Nyquist周波数以上の周波数の透過率が確実にゼロ付近になるよう、フィルタのカットオフ周波数は低めに設定し、フィルタの透過率が右下がりに下がっていって、Nyquist周波数に届く前にゼロになるようにしてあるのです。

20140421_1

一般的に1kHz(1000Hz)で脳波記録を行う場合、アンチエイリアシングフィルタは300Hz付近に設定されることが多いようです。

脳波の周波数解析を行う場合、サンプリング周波数だけでなく、アンチエイリアシングフィルタのことも考える必要があります。

例えば、400-500Hzの波を分析したい場合、サンプリング周波数だけを考えると、1kHzで十分です。しかし、実際には300Hzのアンチエイリアシングフィルタがかかっていますので、400-500Hzの波は元の波と比較するとかなり弱められてしまっています。なので、1kHzのサンプリング周波数では足りません。通常、1kHzの次は2kHzの設定のことが多いので、2kHzでサンプリングを行えば、アンチエイリアシングフィルタは600-700Hzになりますので、400-500Hzの波をきちんと解析できます。

だいたいにおいて、分析したい周波数の3倍以上のサンプリング周波数が実際には必要と覚えておけばよいです。

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