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2014/04/15

デジタル脳波の基本5 - エイリアシング

前回の記事で、サンプリング定理について書きました。

デジタル信号で再現可能な最高周波数は、サンプリング周波数の半分であり、この周波数はNyquist(ナイキスト)周波数と呼ばれます。

例えば、100Hzでサンプリングするとします。つまり、1秒間に100回データを記録する(10ミリ秒毎にデータを記録する)ということです。この場合、50Hzまでの波しか記録できません。それ以上は、どうやっても無理です。

でも、元々の波にNyquist周波数を超える周波数の波があったらどうなるのでしょう?

上の例だと、元々の波に60Hzの波が入っていた場合、どうなるのか?

20140415_1

この場合、Nyquist周波数を境に折り返しが発生します。50Hzを境に、60Hz(50Hzより10Hz上)が折り返されて、40Hz(50Hzより10Hz下)に見えてしまいます。つまり、60Hzの波はもちろん記録できないうえに、元々はなかった40Hzの波が見えてしまいます。あるものを記録できないのはよくないけれど、本来ないものが記録されてしまうのはもっと悪いです。

このような偽の信号が記録されてしまう現象をアイリアシング(aliasing)と呼びます。

右の図は、元々の波に青色の3つの周波数成分が入っている波を記録するとどう見えるかをグラフにしています。一番右の青色はNyquist周波数を超えるので、そこを境に折り返されて、実際には赤色の周波数の波が見えてしまいます。

下の図に、実際の波にアイリアシングが発生する様子を示しています。

20140415_2

グレーの縦棒が、サンプリング(データの記録)が行われるタイミングです。青色が元の波で、Nyquist周波数より周波数が少し高くなっています(山と次の谷との間隔が縦棒の間隔より狭い)。実際に記録されるデータは、グレーの縦棒と青い波とが交わる場所ですので、赤い丸の部分になります。

記録されたデジタル信号だけを眺めますと、赤い丸しか見えません(元の青い波は見えません)。赤い丸だけを見ると、太い赤色の波のように見えてしまいます。つまり、元々なかった周波数の波(Nyquist周波数より低い)がゴーストのように出てきてしまうわけです。

実際の記録では、記録できないものがあるのはよいのです。検査の限界ということで。しかし、本来ないものが記録されてしまうのは避けなければなりません。

なので、サンプリング(データの記録)を行う前に、元々の波にあるNyquist周波数より高い周波数成分を取り除く処理を行います。具体的には、Nyquist周波数より高い周波数をカットするのですが、これにはフィルタを用います。フィルタについては、またの機会に書きますが、このようなフィルタをアンチエイリアシングフィルタと呼びます。

つまり、デジタル信号を記録する際には、まずNyquist周波数以上の波をアンチエイリアシングフィルタで取り除き、それからデータのサンプリングを行うということです。

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