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2013/04/07

先天性代謝疾患10

今回は、MTHFR欠損症という病気について書きます。

MTHFRとは、メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素というもので、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸を5-メチルテトラヒドロ葉酸(5-MTHF)に変換する酵素です。

この5-MTHFはアミノ酸であるメチオニンの代謝に大切で、メチオニン → S-アデノシルメチオニン → S-アデノシルホモシステイン → ホモシステイン → メチオニン という一連の反応のうち、最終的にホモシステインをメチオニンに戻す段階で必要です。

MTHFR欠損症では5-MTHFが下がり、ホモシステインが体内に蓄積してホモシステイン血症になります。これは尿中に排泄され、ホモシスチン尿になります。ホモシステインは血栓症や塞栓症との関連が言われているので、要注意な物質です。新生児マススクリーニングで見つかるホモシスチン尿症(シスタチオニン-β合成酵素)はメチオニン高値になりますが、MTHFR欠損症ではメチオニンは低くなる点が異なります。

さて、子どもではどんな症状になるかですが、乳児発症の場合、体が柔らかい、眠りがち、食欲が少ない、無呼吸、てんかん発作(全身けいれんやミオクロニー、West症候群も報告あり)、頭が小さい、発達が遅いなどの症状になります。年長(1-10歳)だと、発達の遅れ、種々のてんかん発作(Lennox-Gastaut症候群の報告もあり)、痙性麻痺、感覚障害、言語障害などがみられます。さらに年長の場合、末梢神経障害や精神症状を示す場合もあるようです。

診断ですが、症状からいきなりこの病気を疑うのはまず無理でしょう(僕にはできません)。血中総ホモシステイン上昇、ホモシスチン尿、メチオニン低値~正常が最初の手がかりだと思います。可能であれば、5-MTHF低値を示したうえで(通常の葉酸は下がりません)、遺伝子診断という手順になります。

治療には、ベタインという物質を用います。ヒトの体内には、ベタインとホモシステインからメチオニンを作る酵素があるので、それを利用して迂回するわけです。また、ビタミンB12、葉酸(またはフォリン酸)などの補充も行われます。

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