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2013/03/09

先天性代謝疾患9

昨年の2月頃、てんかんを起こす先天性代謝疾患についていくつか記事を書きました。治療法がある病気があるので、稀であってもチェックはしておくべき、という考え方からでした。

現在は治療法のない病気であっても、将来的にはよい方法が開発されるかも知れません。ただそのためには、その病気の患者さんをきちんと見つけ出さないといけません。モデル動物などがいくら開発されても、最終的に治療の対象になる患者さんが見つからなければ、病態の解明と治療法の発展は望めませんから。

なので、時折でもよいので、何か新しいことを勉強した際には書いていくことにします。

今回は、ADSL欠損症という病気です。日本での報告はまだないように思います。

電話回線と同じような名前のADSLですが、アデニロコハク酸リアーゼという酵素のことで、プリン体の代謝にかかわっています。

症状ですが、発達の遅れ、自閉症、てんかん、筋緊張低下などと非特異的であり、症状だけからの診断は無理です。早期発症の重症例から、ごく軽症までと症状の幅は広いようです。

頭部MRI検査では白質の髄鞘化の欠如または遅延が見られ(程度にはかなりの幅がある)、わりと特徴的とされています。

診断としては、まずスクリーニング検査として、Bratton-Marshall反応というものがあり、これが陽性であれば次の段階へ進むことになります。海外ではこの検査を行っているラボがありますが、日本で行っているかどうかは分かりません。検査自体にそんなに手間はかからないようですが、危険物である亜硝酸ナトリウムを扱うので注意は必要です。

この疾患ではSAICArS-Adoという物質が体内に溜まるのですが、これを液体クロマトグラフィーで検出することにより、確定診断することができます。これも日本で行えるかどうかは寡聞にして知りません。

最近の進歩としては、頭部MRSがあります。MRSはMRI撮影機器を用いて脳内の代謝産物を測定する検査です。S-Adoが溜まっていればMRSで検出されることが最近報告されました。ただしちょっとした工夫が必要で、MRSの表示スケールを通常の0-4ppm程度から0-9ppmに広げてもらうのです。S-Adoが存在すれば、健常人にはないはずのピークが約8.3ppmに現れます。通常のスケールでは見つからないわけです。撮影時間は特に変わらないと聞いていますので、私の勤務する施設でもスケールを変更して撮っていただくようにお願いしています。

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コメント

友達の子供はこのアデニロコハク酸リアーゼ欠損症をあります。
治療について、なんにかできることありますか?

投稿: 唐 佳 | 2015/01/15 19:37

唐佳さん

残念ながら、この病気は今のところ治療法はありません。早く効く治療が見つかってほしいと思います。

投稿: あきちゃん | 2015/01/15 20:16

脳梁に白い影が見つかり、ADSLなんちゃらかもしれないと言われ遺伝子解析されています。
3年前には大脳の白質脳症が治り、新たにできた影なのですが突然変異となるのでしょうか。どうせなら特殊能力くらい欲しいものです。

投稿: ワタナベ | 2016/05/16 15:28

ワタナベさん

ADSL欠損症で、白質脳症が治った後にまた起こるということがどのくらい報告があるのかは分からないです。自分が読んだ文献にはそこまで書いてありませんでした。

この病気は劣性遺伝ですから、両親が保因者の場合と、片親が保因者でもう片方の親から受け継いだ遺伝子に新たに突然変異が起こった場合が考えられると思います。

投稿: あきちゃん | 2016/05/16 16:15

お返事ありがとうございます。

検査結果がまだ出ておらず不安はありますがどのような検査になろうとも、歩けることは無いと思うので今までどおり生きていきます。

投稿: ワタナベ | 2016/05/17 10:51

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