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2012/06/17

連続脳波1

トロント小児病院時代に、連続脳波記録(CEEG)の臨床業務にほぼ3年かかわっていました。

これはどういう仕事かといいますと、発作を起こす可能性の高い方で脳波を連続記録し、発作を早く見つけ出して適切な治療を行うというものです。

なぜ行うかといいますと、ある基準を満たす小児患者で脳波を連続記録すると、48時間以内に半数近くの方に発作がみられることが分かったからです。この発作を早く治療することで、最終的な転帰(後遺症の程度など)が改善するかどうかはまだ分かっていません。しかし、発作のある方では、かなりの割合で長い発作や頻発する発作がみられるため(重積状態)、積極的に治療することにあまり違和感は感じていません。

ある基準とは以下のとおりです(トロント小児病院のCEEGの開始基準)。

治療目的のCEEG

  • てんかん重積状態における抗てんかん薬の用量調節の補助

診断目的のCEEG

  • 原因不明の意識レベル低下で、非けいれん性発作が疑われる場合
  • 発作のリスクのある患者で、筋弛緩薬が使用されている場合
  • 発作らしき症状があり、発作かどうか確認したい場合
  • Amplitude-integrated EEG(脳波モニターの一種)で発作らしきものがみられ、それが発作かどうか確認したい場合

この基準をみると分かる人には分かると思いますが、ある程度重傷度の高い患者さんになります。トロント小児病院ではCEEG開始の条件として、患者さんがICUに入院しているというのがありました。

治療目的のCEEGの場合は、わりと分かりやすい。てんかん重積状態を起こした患者さんを薬で治療した場合、見た目には発作は止まったのですが、本当に発作が止まったかどうか分からない場合があります。こういうときにCEEGを行えば発作がどうなっているか分かります。

診断目的のCEEGの場合は、未確認の発作を見つけ出すのが目的です。ここでのキーワードは、非けいれん性発作。これは、症状としては見えないけれど、脳波では発作をしている状態です。

非けいれん性発作の場合、長引く意識障害が主な症状であるため、原則的に脳波をとらないと診断できません。また、人工呼吸器が装着されていたり低体温療法を行っていたりする患者さんでは、筋肉が動かないように筋弛緩薬が使われる場合があります。その場合、本来ならけいれんするはずであっても、筋肉が動かないので発作がまったく分かりません。やはり脳波が診断に必須となります。

非けいれん発作 = 診断には脳波が必要

それなら、上に書いた基準を満たす方ではみんなCEEGを行えばよいじゃないかという論理になるかも知れませんが、実際の運用はそうはいきません。それはまた次回に。

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