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2012/04/15

1.5テスラMRIと3テスラMRI

以前にも何回か書いた、限局性皮質形成異常(FCD)についてです。難治てんかんの原因のかなりを占めています。

この異常、大きなものはわりと簡単に見つかりますが、小さなものはなかなか見えません。仮に写真に写っていてもです。また、通常のスクリーニング目的のMRIでは半数以上が見落とされるという報告があります。

そこで、3テスラMRIという高磁場MRIによる薄いスライス厚のギャップなし撮影(3D撮影)が大切になってきます。これをT1強調画像、T2強調画像、FLAIR画像(施設によってはプロトン強調画像も撮る場合がある。例えばトロント小児病院)で撮るのです。

FLAIR画像では、FCDの部位から脳室にのびる細い線状の異常信号(transmantle sign)が見える場合があります。細いため、通常の厚いスライス、ギャップあり撮影では写りにくいです。

T2強調画像は、特に新生児期から乳児期早期発症の難治てんかんでは非常に役立ちます。これで何例か形成異常を見つけたことがあります。

ここまで書くと、3テスラMRIはすばらしいけど、従来の1.5テスラMRIはもう要らないと言っているように受け取られるかも知れません。ところが、1.5テスラの方がよい場合もあります

FCDはFLAIR画像で高信号になる場合がありますが、この高信号は1.5テスラの方がはっきり見える場合があります。以前にその理由の説明をうかがったことがあるのですが、残念ながら理屈をよく覚えていません。

最近も3テスラで高信号が見えずに1.5テスラで見えた事例を経験しました。ただし、3テスラではtransmantle signを見つけることができました。

なので、それぞれよいところがあって、両者は補完し合うものだということです。そういう意味で、1.5テスラでのスクリーニングをまず行い、たとえ正常に見えてもやはり焦点性てんかんを疑う場合は3テスラで精査する、というのが妥当な手順かと思います。

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コメント

はじめまして。父が入院をしてもう五ヶ月になるのですが、父が使用しているミダゾラムという薬品名からこちらにたどりつき、以来、頻繁に拝見させて頂いております。

父の病名は症候性てんかんというもので、痙攣発作、重責状態といわれています。70代ですが、てんかんの既往歴はなく、倒れて救急車で運ばれ、MRIをとりにいったあと、突然の全身痙攣で容態が急変し、その後、痙攣重責状態が続いています。
病院では当初、画像診断を繰り返されましたが、これだけの痙攣を起しうる病巣が画像では確認されないと言われ、原因不明といわれています。
麻酔薬で痙攣を抑えているだけの日々ですので、どれだけ深刻な状態かは納得できているつもりですが、
先生のおっしゃるような画像診断ができれば、てんかんであるのかないのかがはっきりと判明するのではないかと思うようになりました。
素人考えで、過去にてんかんと疑われるような発作もないところに、MRIをとりにいき、このような状態になったことを考えると、造影剤によるアレルギーではないかと考えたり、それなら、医師からの説明があるはずとも考えり、あまりよくない考えの堂々巡りをしています。
今の医学では解明できないと、さじを投げられたような状態なのですが、何か知恵を授けてはいただけないでしょうか?

投稿: ガイア | 2012/04/19 12:50

ガイアさん、こんにちは。

お父様の件、さぞかしご心配なことと思います。

私はお父様を診察しておりませんし、70歳の方の診療も日常しておりませんので、明確な回答はできません。

ふつうに考えれば、画像検査、血液検査、髄液検査などを繰り返し、原因をしつこく探すということになります。この記事で書いたFCDは、通常は小児期にてんかんを発症しますので、お父様には当てはまらないかも知れません。

ミダゾラムを使っておいでとのことですが、ミダゾラムから離脱するためには、別にお薬を加えて徐々にミダゾラムを切っていくということを行うことが多いです。その辺りは主治医の先生とよく相談してみてください。

投稿: あきちゃん | 2012/04/19 17:18

早速のご回答、ありがとうございます。
ミダゾラムは5mℓ/h(?)を断続的に使用しています。
主治医の先生によると、手術の際の麻酔薬とのことですので、意識は朦朧としていると言われているのですが、家族の呼びかけには、耳を傾けているように思えてなりません。が、実際のところ、この量で意識はどの程度、保たれているのでしょうか?
また、てんかん発作の症状と、副作用によるショック症状とは、そもそも全く異なったものなのでしょうか?

投稿: ガイア | 2012/04/19 20:42

ガイアさん

残念ながら、5mL/hではどの程度の量かは分かりません。ミダゾラムは希釈して点滴しますので、希釈の度合いが分からないと量が計算できないからです。慣れがくるお薬ですので、長期に使っていると目が覚めてくる方はおられます。

てんかん発作と「ショック症状」についてですが、医学的には「ショック」とは種々の原因における急激な血圧低下を意味します。血圧低下により意識障害やけいれんが起こる可能性はありますが、血圧が戻れば回復するものです。ただし、血圧低下で何らかのダメージが脳に起こり、その後遺症としててんかん発作が起こる可能性はあります。

投稿: あきちゃん | 2012/04/19 21:13

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