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2012/02/21

家庭におけるてんかん発作の治療

てんかん発作が長く続くとき、短くても繰り返し起こって意識が戻らないとき。これはてんかん重積状態と呼ばれ、緊急事態です。一般に持続30分が境界線ですが、たいていそこまで待つことはありません。例えば、発作の長さが5分を超えたら何らかの処置を考えることが多いです。

てんかん重積状態では発作を一刻も早く止めたいわけで、病院内であれば抗てんかん薬の注射で発作を止めます。なので、救急外来で治療を受けるのが一番ですが、病院に着くまでに何ができるのでしょうか?

残念ながら、日本でできることは、せいぜい抗てんかん薬の坐薬を入れることくらいです。ただ、一般的に使われる坐薬は溶けるのに時間がかかり、血中濃度がピークに達するのに20-30分かかるとされています。溶けきる前に肛門から出てしまっていることもあります。てんかん重積状態では、血中濃度をなるべく早く上げて発作を止めたいのですが、坐薬では心もとないことになります。

海外にはジアゼパム注腸用ゲルというのがあります。注射器に入っており、坐薬と同じように肛門から投与しますが、血中濃度は10分程度で上がります。問題点は、注腸は煩雑だということ、けいれんしている場合は投与が難しいこと、外に出てしまう可能性があることで、坐薬と同様かと思います。

ミダゾラム点鼻療法というのもあり、ミダゾラムの注射薬や点鼻薬を鼻に入れるという治療があります。口の中でもかまいません。これも数分で吸収されて早く効果が現れます。問題点としては、ミダゾラムの注射薬はまずいこと、飲み込んでしまうと効果発現が遅くなること(腸から肝臓を通るので)、液体なので管理が難しいこと、ミダゾラムはてんかん重積状態の治療薬としてはまだ認められていないことなどがあります。

カナダでは、ロラゼパム舌下錠を使っていました。小さい錠剤で、数十秒で溶解します。ティッシュで奥歯の下の歯茎と頬粘膜の間の唾液をふきとり、そこに錠剤を入れ、外側の皮膚ごしにクイクイと円を書くように押しながら溶かします。これもわりと早く効果が出ます。わりと簡便な治療法ですが、やはり飲み込んでしまうと効果発現が遅くなってしまいますし、カナダでも保険で認可された治療法ではありませんでした。

どの治療にも一長一短はありますが、これらのどれも日本では行えないという現状が問題です。この辺りの問題は学会も把握していますから、何らかの対策を考えているはずなのですが。

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