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2012/01/05

血中濃度測定 (Blood level measurement)

治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring; TDM)というのがあります。治療域(治療に適切な用量の幅)が狭く副作用の出やすいお薬は、血液中に溶けているお薬の濃度(血中濃度)をきっちり管理する必要があります。抗てんかん薬もTDMの対象となるお薬です。

抗てんかん薬の血中濃度を測るのはどういう場合でしょうか?

以下のような場合が考えられます。

1. 十分量使っているはずなのに、発作が抑制されない場合
2. 副作用と考えられる症状が出ている場合
3. 酵素誘導(お薬を飲み始めてしばらくすると、肝臓での分解速度が速くなる。カルバマゼピン等)により血中濃度の変動が予想される場合
4. 使用量と血中濃度が線形関係(用量を2倍にすると血中濃度も2倍になるといった直線関係)にない場合
5. 怠薬が疑われる場合

お薬の内服が規則正しく、発作が抑制されていれば、抗てんかん薬の血中濃度を測る必要は必ずしもありません。というのは、個人個人で治療効果のある血中濃度は異なりますので、抗てんかん薬のいわゆる有効血中濃度はただの目安に過ぎないからです。なので、血中濃度が低めであっても、有効血中濃度より高かったとしても、発作が抑制されており、かつ副作用がなければ、お薬の用量の変更はしないのがふつうです。

採血するタイミングですが、トラフピークというのがあります。トラフとは、お薬を使う直前の血中濃度が一番低い時、ピークとはお薬を使用後、血中濃度が一番高い時をいいます。

抗てんかん薬の場合、ピークのタイミングは、実はよく分かりません。通常、ピークと称して内服2-4時間程度で計る場合が多いですが、吸収スピードには薬による差、個人差がありますので、一定しません。さらに、徐放剤と呼ばれる吸収がゆっくりなお薬(デパケンRなど)は、ピークがもっと後に来てしまいます。ただ、同じ個人で同じタイミングなら、その人に関してはわりと安定した指標になるかと思います。

カナダでは、本当にきっちり血中濃度をみたい場合はトラフを測っていましたし、日本でもそうしている施設はあります。しかし、外来の患者さん等で、朝一番の採血ができない場合は、内服後に測るしかありません。カナダでは、これをランダムレベルと呼んでいました。どういうタイミングになるか分からないからです。ランダムレベルも参考にはなりますが、よっぽど高い(または低い)数値でない限り、発作頻度や副作用の有無といった臨床的なデータを判断基準として優先していました。

あと、カナダで勉強して知ったのは、北米では有効血中濃度(例えば、バルプロ酸では50-100µg/mL)をトラフ濃度で考えているということです。ピークがいくらかは、患者さんに副作用がなければ気にしていません。なので、ピーク値を基準に治療するよりも使用量が多くなる傾向にあると思います(もちろん、発作が抑制されれば、無駄な増量はしません)。

僕自身は、どういうタイミングで採血するかには強いこだわりはありません。お薬の特性と状況により判断すればよいと思います。

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