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2012/01/31

先天性代謝疾患5

ブドウ糖の輸送障害による疾患、グルコーストランスポーター1(GLUT1)欠損症というのがあります。

脳はエネルギー消費が体で一番多い臓器です。主なエネルギー源はブドウ糖ですが、これを脳内にうまく輸送できないために、エネルギー不足による症状が現れます。

GLUT1欠損症の症状としては、発達の遅れ、てんかん、不随意運動、運動失調、筋緊張低下等があります。てんかん発症は乳児期前半が主体ですが、年長発症もあるようです。脳波異常が食前に強く、食後に改善するのも特徴です。症状のバリエーションにはかなりの拡がりがあり、疾患概念としてどんどん拡大してきています。

診断の第一歩は、髄液中ブドウ糖が血中ブドウ糖に比べて異常に低いことを示すことです。4-6時間の絶食後、まず採血を行い、それから髄液を採取します。採血が先なのは、髄液採取に伴うストレスにより血糖値が上昇するからです。確定診断のためには、遺伝子診断や赤血球によるブドウ糖取り込み試験を行います。

治療法ですが、ケトン食が有効です。ケトン食は、高脂肪低炭水化物の食事で、体内で脂肪が分解されることにより、ケトン体が生成されます。難治なてんかんに試される食餌療法ですが、GLUT1欠損症の場合、ブドウ糖の代わりのエネルギー源としてケトン体を脳に供給することにより、症状の改善を狙うことができます。ケトン食は難治てんかんの治療の選択肢の1つと考えられていますが、GLUT1欠損症の場合はケトン食に替わる治療法は今のところありません

早期に治療を開始するには、早期発見が大切です。髄液検査前には血糖をいつも測るようにしましょう。もちろん、検査前の絶食を忘れずに。

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