« 先天性代謝疾患2 | トップページ | ThinkPadヒンジ修理 »

2012/01/26

先天性代謝疾患3

ビオチニダーゼ欠損症という疾患があります。日本では、患者数が50人以下という稀な疾患です(難病情報センターより)。

ビオチンという一種のビタミン(ビタミンHとも呼ばれる)があります。これは、体内の種々のカルボキシラーゼの補酵素として働き、炭酸脱水素反応を触媒します(USMLEでよく問われる知識です)。

体内で消費されたビオチンは、ビオチニダーゼによって回収されますが、これが欠損しているとビオチンの再利用が阻害されて欠乏症状が現れます。

有名な症状としては、湿疹や脱毛などの皮膚症状がありますが、神経症状呼吸症状も現れたりします。神経症状としては、乳児期早期発症のてんかんの他、筋緊張低下(体がやわらかい)、発達の遅れ、聴力低下等があります。また、高乳酸血症、高アンモニア血症、有機酸尿もみられたりします。

てんかん発作としては、強直間代けいれん、ミオクロニー、スパズム(点頭てんかんの発作みたいなもの)があるそうです。ウェスト症候群、大田原症候群の報告もあります。

診断方法は、ビオチニダーゼ活性の測定です。

治療ですが、ビオチン大量内服を行います。再利用できないなら十分量補充すればよい、という考え方だと思います。日本のビオチンの錠剤、粉末剤は含有量が微量なため、それなりの量を飲まなければなりません。しかし、ビオチニダーゼ欠損症であれば、劇的に効きます。

実際の現場では、ビオチニダーゼ活性の測定は簡単にはできませんので(トロントでは簡単にオーダーできました...)、疑わしき患者さんには、まずビオチン大量内服のトライアルを1週間程度行い効果をみることから始めてみたらと思っています。注意すべきポイントは、皮膚症状や代謝異常を示唆する所見(高乳酸血症等)を欠く場合や、これらが神経症状よりも後に出てくる場合があるということです。なので、皮膚症状がないから違う、などとは一概に言えません。

大切なことは、治療可能な疾患を見落とさないことだと思います。ビオチン大量内服のトライアルを1週間程度行ったところで、体にたいした害はありません。しかし、著効すれば、その方の一生が変わります。

|

« 先天性代謝疾患2 | トップページ | ThinkPadヒンジ修理 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 先天性代謝疾患2 | トップページ | ThinkPadヒンジ修理 »