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2012/01/21

先天性代謝疾患1

てんかんの原因はたくさんあります。

小さなお子さんで、生まれた時に大きな事故がなかったにもかかわらず、てんかんを発症し発達に遅れのある方を診ることは少なくありません。

こういった場合、まずはMRIをとって原因となる病変がないかどうかよく探します。しかし、MRIにはっきりした脳の一部の異常がなく、全体的に脳が縮んでいたり(萎縮)、正常であったりする方はわりと多いです。脳波をとってみると、脳のあちこちから発作が起こっていたり、てんかんの波が出ていたりします。こういう場合、遺伝子異常先天性代謝異常を疑います。

特に、治療方法のある先天性代謝異常はよく押さえておかなければなりません。完全治癒とまではいかなくても、症状の軽減にとても役立ちますから。なかなか出会う機会はないですけれど、僕も上手にスクリーニングできるよう、勉強を続けています。

今回は、ビタミンB6についてです。

新生児発症の発作で、ビタミンB6に反応するケースがあります。新生児医療の本に書いてありますが、低血糖等や電解質異常がはっきりしない場合、ビタミンB6の1つであるピリドキシンを注射してみる。すると発作がピタリと止まる。ピリドキシン依存性発作と言われます。厳密に診断するには、ピリドキシン大量を使い他の抗てんかん薬を止めても発作が再発せず、ピリドキシンを中止すると発作が再発し、ピリドキシン再開で発作が再び止まる、というのを従来は行っていました。しかし、現在は原因遺伝子(ALDH7A1)が分かっていますので、ここまでする必要はありません。

一般に新生児期発症ですが、もっと年長になってからの発症も報告されています。こういうのは見つけるのがとても難しいです。

なお、日本では点頭てんかんにもビタミンB6(ピリドキサール燐酸)大量療法を行いますが、これで発作が止まるケースは、ビタミンB6反応性であり依存性とは異なります。

ビタミンB6依存性の疾患はもう1つあります。ピリドキサール依存性発作と呼ばれます。ピリドキサールは活性型ビタミンB6で、ピリドキシンが体内でピリドキサールに変換されて働くのですが、この変換酵素に異常があると発作を起こします。ピリドキシン依存性発作との違いは、ピリドキシンが無効でピリドキサールが有効なことです。これも原因遺伝子(PNPO)が分かっています。

治療現場では、両者に効くピリドキサールをまず試し、もし著明な効果を見た場合はこの2つの疾患を考えて精査する、という流れになります。

トロント小児病院では、神経伝達物質の検査(ピリドキサールリン酸濃度)を後で提出できるよう、治療開始前に髄液を採取、保存していました。

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