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2011/12/21

不可思議なラモトリギンの用量

最近日本で認可された抗てんかん薬の1つにラモトリギンがあります。

日本に戻ってきても、いわゆる第二世代抗てんかん薬が色々と使えるなぁと喜んでいたわけですが、日本でのラモトリギンの用量設定で納得のいかない点を見つけました。

バルプロ酸という抗てんかん薬を併用すると、ラモトリギンの血中濃度が上がります。ラモトリギンの濃度が高い、または急速に上昇すると、薬疹のリスクが増しますので、バルプロ酸併用の場合、低めの用量が設定されています。小児だと、最大3mg/kg/日です。

また、肝臓の酵素を誘導する薬剤(フェノバルビタール、ガルバマゼピン等)を併用すると、ラモトリギンの血中濃度が下がります。そのため、肝酵素誘導剤併用の場合、高めの用量になります。小児だと、最大15mg/kg/日です。

さて、バルプロ酸と肝酵素誘導剤の両者を使った場合はどうなるのでしょうか? この場合、最大5mg/kg/日になっています。

ここまでは、日本も北米も一緒です。

最後に、バルプロ酸も肝酵素誘導剤も使っていない場合です。日本は、ここがおかしい。

北米では、最大7.5mg/kg/日です。バルプロ酸併用で肝酵素誘導剤併用なしの時よりは高く、肝酵素誘導剤併用でバルプロ酸併用なしより低いので、納得のいく数字です。

日本では、ここがバルプロ酸併用時と同じ用量に設定されています。つまり、最大3mg/kg/日です。北米に比べてあまりにも低い設定です。バルプロ酸併用時にはラモトリギンの血中濃度が上がってしまうから、あえて低めの用量にしているわけですので、バルプロ酸併用なしでも同じ用量設定というのがどうにも理解不能です。なんでこんな設定になったんでしょう?

最終的には血中濃度をみながら用量の調整を行いますが、添付文書にこんな理解不能な最大量を記載されてしまっては、正直困ってしまいます。

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コメント

はじめまして。
私はてんかんではなく、双極性障害でラモトリギン服用を開始したのですが、バルプロ酸の併用をしていることもあり、薬疹やスティーブンス・ジョンソン症候群の発症で、選択肢が狭くなってしまうのを懸念しています。
欧米人は日本人よりも体格が良いので、日本で新規薬剤が登録される際に海外での最大服用量よりも引き下げられると言う話を聞いたことがありますが、薬疹リスクの軽減のために、最大服用量(200mg)よりも下回る用量(ex 25mg/day)で継続服用するのは効果があると思われますか?

投稿: Okapong | 2012/06/09 10:18

Okapongさん

成人の場合は体格がだいぶ違う場合もあるかも知れませんが、北米でも中国人や韓国人は住んでいますし、小柄な女性もおられますから、それだけですべてを説明はできないと思います。特に小児の場合は体重ベースで計算しますし。

実際、バルプロ酸も肝酵素誘導剤も併用していない小児に日本での最大量(3mg/kg/day)を使っても、血中濃度を測ってみるとたいして上がっていません。つまり、用量設定が根本的に誤っているのです。

薬疹リスク軽減のために少な目の量を内服するのに効果があるかどうかというご質問ですが、確かに増量しなければ薬疹のリスクはたいして上がらないことでしょう。しかし、今の量で双極性障害への効果が十分出ていないとしたなら、内服している意味がありません。その場合は、ガイドラインにしたがってゆっくり増量してみる、ということになるかと思います。このあたりは、主治医の先生とよく相談してください。

投稿: あきちゃん | 2012/06/09 10:51

丁寧なご返信と解説、どうもありがとうございました。
私の場合、バルプロ酸で躁のコントロールが整っていたので、あとは鬱の対策、と、ラモトリギンに期待を持って色々と調べてみたのですが、25mg/隔日服用で1週間目で薬疹と思わしき全身の痒みと喉の違和感が出てしまいました。
軽度の薬疹は珍しくない副作用だとわかりつつも、やっぱり悔しいですね。
今後の薬の進歩にも期待しています。

投稿: Okapong | 2012/06/09 23:58

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