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2011/06/01

小児のstroke(脳卒中)に関するテキスト

先日、トロント小児病院(SickKids)の元脳卒中フェロー(Stroke Fellow)が日本小児神経学会総会で表彰されたという話を書きましたが、トロント小児病院は、小児の脳卒中に関しては非常に進んでいます。

神経科の中に脳卒中チーム(Stroke Team)という専門グループがあります。救急に脳卒中と思われる患者がくれば、超急性期治療に向けた検査と治療プロトコルが適用されます。超急性期の動脈性虚血性脳卒中(arterial ischemic stroke)と診断され、SickKids独自の治療基準を満たしていれば、tPAの静脈内投与または動脈内局所投与が行われます。

あとは、脳静脈洞血栓症(Cerebral sinovenous thrombosis; CSVT)の症例が多いことです。特に新生児期に多いのですが、Googleで日本語で検索しても小児のCSVTがあまり引っかかってきません。CSVTの診断は、可能性を疑って探すことに尽きますから、見逃されているケースはそれなりにあると思われます。

ただ、状態の落ち着かない新生児にMRI(拡散強調画像、MRA、MRVも必要)を行うことは難しいです。MRVでも見逃しがあり、血栓の描出にはCTVの方がよいという話を聞いていますので、こちらがより現実的なのかも(しかし、梗塞の検出はMRIに劣ります)。そして、抗凝固療法です。ヘパリン点滴か低分子ヘパリン皮下注射が行われますが、静脈性梗塞で少量出血していたとしても(major bleedはダメ)、治療する方がメリットは大きいようです。

SickKidsからは、脳卒中に関する優れた論文がいくつも出ていますが、これは1990年代にカナダの小児脳卒中患者の登録システムが立ち上げられ、きっちりとした疫学データや治療効果のデータ等があるからです。これが出来たのは、脳卒中の患者は例外なく大きなセンターに転送され、かつそのようなセンターはカナダでは少ないので、患者の登録が比較的容易だからだと思います。日本では大学病院だけでも50以上に分散してしまっており、このようなシステムの構築は難しいのかなと思います。

Stroke in Children and Young Adults: Expert Consult - Online and Printまぁ、自分としては、自分自身の診断・治療レベルを上げていくことが重要です。小児の脳卒中の治療ガイドラインが、2008年にAHAから出ていますので、これを何度も読んで勉強しないといけないなと思います。

あと、テキストを探していたのですが、右の本を学会会場で見かけました。チラッと見た限りでは、けっこう勉強になりそうだなと思い、購入を考えているところです。Neurology誌にもBook Reviewで紹介されていました。

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