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2011/05/30

迷走神経刺激療法技術講習会 (VNS seminar)

岡山へ戻るのを1日延ばして、東京で行われた迷走神経刺激(VNS)療法技術講習会を受けてきました。

日本でVNS装置の植え込み手術を行うには、この講習会を受けた脳神経外科医が必要です。その脳神経外科医は、てんかん学会認定医かつ脳神経外科専門医である必要があります。だから、ハードルが非常に高いです。

また、VNS装置の設定変更は脳神経外科医でなくてもできますが、この講習会を受けたてんかん学会認定医に限られています。自分の施設で植え込みができなくても、別の施設にお願いして植え込みをしてもらい、そこが遠ければ、自分たちで患者さんをフォローするということは十分ありますから、特に緊急時の対応など、自分達も用意しておかなければなりません。

この技術講習会は、今回が3回目だとのことです。最初は脳神経外科医を主な対象として行ったとのことですから、前回と今回くらいから、神経内科医、精神科医、小児神経科医が対象になってきているのでしょう。当面は、年に1回の講習会とのことですから、今回参加できたのは、たいへんラッキーなことでした。定員は70名でしたが、どうみても30-40名くらいしかおらず、なんでかなぁと思いましたが、てんかん学会認定医の数は限られていますから(学会ホームページで見ると全国で368名。海外在住の僕の名前は記載なしですが、モグリじゃありませんよ)、こんなものなのでしょうか?

昨年にノースカロライナで開かれたNeurostimulation for Epilepsy Programに行ったこともあり、今回の講習の内容はもちろん重複点が多かったのですが、知識の確認に役立ったと思います。VNS装置の設定変更にはプログラミングワンドとPDAを用いますが、今回の講習会ではビデオによる説明のみであり、ハンズオンでなかったのがちょっと物足りませんでした(ノースカロライナでは、ワンドとPDAの操作を体験させてくれました)。

日本では、当面は12歳以下の小児例は全例登録することになり、経過を詳細に報告することになっているようです。なので、VNSに関する貴重なデータがでることと思いますから、僕たちもしっかり協力しなければなりません。

最後にVNSで気をつけることですが、切除外科の可能性が否定された患者さんを原則として対象とするということです。というのは、VNSは緩和療法であり、てんかんを根治させる手段ではないからです。なので、SickKidsでは、VNSの候補患者については、てんかん切除外科による根治の可能性をまず十分に検討し、その可能性を否定して初めてVNSを考えることにしています)。

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コメント

VNS適用は切除外科が否定された場合に限るんですね。主治医の判断のもと、現段階でできることはVNSとのことなので、4歳息子に検討しています。将来的に切除外科ができるかもしれないという可能性は除かれる、と考えてよいでしょうか。
また、VNSで埋め込むジェネレータとリード線は効果が全くないと判断できる場合には取り出すことは可能でしょうか。
また、VNSの電流を調整しながら、薬の調整をしてもよいのでしょうか。薬の増量ではなく減薬減量を考えています。
トロントの病院での考えも教えていただけたら嬉しいです。
私たちは今はドバイ在住ですが、埋め込み手術は国内で、電流調整を、アブダビの病院でしてもらおうかと思案中です。

投稿: またね | 2013/04/15 04:22

またねさん、こんにちは。

将来的な切除外科の可能性は必ずしも否定されません。全般発作(発作の最初から両側に発作活動が脳波で記録される)だと思っていたら、そうではなかったというケースはあります。一方、明らかに右からも左からも別々に発作が起こっている、というような場合は切除外科という選択枝はほぼないでしょう。

VNSの刺激装置は取り出せますが、その前に刺激をしばらくオフにして本当に効果があったかどうかを見る必要があります。リード線は、通常は取り出すことはできません。迷走神経が傷つく可能性があるからです。

VNSのパラメータを調整中は、薬を動かすことは通常しません。調整がある程度落ち着いてから相談というのがほとんどです。VNSの効果が出てくるには、しばらく時間がかかりますので、薬を動かすと何がよいのか悪いのかが分からなくなってしまいます。

投稿: あきちゃん | 2013/04/15 12:11

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