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2010/02/08

処方せんの書き方変更 (Change in how to write prescriptions)

「1回量」の処方せんへの変更、厚労省が通知

上記の記事がM3(医療者向けサイトの1つ)に出ていました。

今までの処方は、1日量と分服数という方式でした。つまり、バルプロ酸ナトリウム 300mg 3分服(これを3×と書いたりもする)という感じです。1回内服量は、300mg÷3=100mg になります。

これを1回量に変更すると、おそらく、バルプロ酸ナトリウム 100mg 1日3回、というような書き方になるのでしょう。当初は混乱が予想されます。

ところが、これは北米での処方せんの書き方と同じです。こちらでは、Sodium valproate 100mg po tid と書きます(tidは、1日3回の意味。Three times a dayでももちろんよい。poは、経口投与)。最初は戸惑いましたが、最近はこちらの方が分かりやすいと思っています。

ただ、「処方せん記載のあるべき姿」と書かれた内容に、気になるくだりがあります。

散剤および液剤の「分量」については、製剤量(原薬量ではなく、製剤としての重量)を記載することを基本とする。

つまり、上記のサンプルよりも、例えば、バルプロ酸ナトリウムシロップ(50mg/mL) 2mL 1日3回が好ましいということです。

これには、僕は反対です。散剤や液剤の濃度はメーカーによって異なりますし、同じメーカーでも複数の濃度の製剤がある場合があります。もちろん、薬局でも置いてある製剤が異なる場合は多いでしょう。そして、患者さんがどこの薬局に薬を買いに行くかは僕達には予想できません。

こういった事情をいちいち考えて処方せんを書かないといけないのであれば、医師はその都度計算しないといけませんし(電子カルテが手伝ってくれるかも知れませんが)。間違いも増えるのではないかと思います。指定した濃度の製剤が薬局にない場合、薬局は医師にいちいち問い合わせなければなりません。

また、患者さんの治療に必要なのは原薬量(効能のある薬剤成分の量)であり、製剤量(薬効成分以外のものも含めた総量)ではありません(粉薬が多いと飲みにくいから、少なめになるような製剤を選ぼうということは時にありますが)。どんな教科書にも、疾患の治療方法で書いてあるのは原薬量です。製剤量の計算に、医師が余分な時間をかけるべきものではないと思います。

医師の仕事は、治療方針を決め必要な薬剤の量を決めることです。薬局毎に置いてある薬剤の事情を考えて実際に患者さんに薬を選んで渡す仕事は、そういう事情を知っている現場の薬剤師に一任したいのが僕の意見です。もちろん、薬剤師が仕事をしやすいよう、きりのよい数字にするような配慮は大切だとは思いますが、製剤のことを一番知っているのは薬剤師です。

かつてバイトで行っていた病院から、処方は製剤量で出してくれと何度か言われたことがありましたが、こういった理由で、僕は断固拒否してきました。

カナダで処方箋を書く場合、そのようなことに気を使う必要はありません。原薬量を書きさえすれば、適切な剤型の選択・計算は、全て薬剤師がしてくれます(もちろん、患者から剤型の希望があれば、処方箋にそう書きます)。そういうことを一番知っているのは薬剤師なので、その道のプロの彼らにまかせるのが一番間違いが少なくなるからです。

どっちが理にかなっているのでしょうか?

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コメント

お久しぶりです。

>医師の仕事は、治療方針を決め必要な薬剤の量を決めることです

私は門外漢ですが、あきちゃんさんの主張が正しいと思います。薬剤師で、長年抗がん剤の開発に携わってきた父は、「薬のプロは、あくまで薬剤師だ」と言っています。確かに、製剤のことまで医師が指示をださなければならないとなると、医師の負担は一気に跳ね上がるだろうし、薬剤師がいる意味がないですよね。

投稿: めい | 2010/02/09 10:10

めいさん、お久しぶりです!

ご賛同いただいてありがたいです。

僕が言いたいのは、それぞれの分野の専門家がそれぞれの強みを生かして、共同作業をすればよいのだということです。その分、コミュニケーションがとても大切ですね。

投稿: あきちゃん | 2010/02/09 12:02

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