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2009/04/09

異例な出来事 (An exceptional event)

昨日、今日とテレビ局がSickKidsの前にやってきている。

既に報道されているのだが、ある先天的な脳の形成異常のため、眠ると呼吸が止まってしまう赤ちゃんがいて、人工呼吸器につながっている。そして、ある先天的な心臓の形成異常のため、心臓移植をしなければ数週間の命の赤ちゃんがいる。

話題になっているのは、この呼吸が止まっている赤ちゃんの呼吸器を外し、赤ちゃんが亡くなった時点で、その心臓を心臓病の赤ちゃんに移植するということである。

通常、臓器のドナーとレシピエントの情報が漏れることはない。ところが、どうもドナー側がレシピエント側の患者の情報を知り、コンタクトを取ったらしい。両者とも実名で報道され、コメントも出している。これは、極めて異例なことだ。

そして、問題は、ドナー側の赤ちゃんだ。起きている間は呼吸は大丈夫なわけで。

結局、移植にスムーズに進めるよう手術室で呼吸器を外すことになったが、それから1時間の間、その赤ちゃんは起きたままで、呼吸をし続けていた。そのため、手術は延期になった。

この問題は複雑である。この赤ちゃんの呼吸器を外すことが正しいのかどうか。本来、レシピエントの状況は、ドナー候補の医療判断に影響してはならないはず。つまり、レシピエントが待てる状況にないからといって、ドナーの死期を早めるということは起こってはいけないわけで。この辺りは、倫理的な判断のみならず法律的な判断も絡んでくるので、僕にはなんともいえない。

これが日本ならどうなっただろう? まず、この赤ちゃんの呼吸器を外せば、外した医師は殺人罪に問われることだろう。また、そもそも小児の心臓移植は日本でできないのである。

このような複雑な問題がどのように処理されるのか(解決とは言わないでおく)、注意して見守っていきたい。

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