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2008/11/19

見えないものを見る力 (Discerning invisible lesions)

近々にてんかん外科手術をする患者さんで、最近のMRIで脳の一部に限局した小さな病変が見つかった方がおられます。3テスラMRIという、非常に高画質の画像が得られる機器を導入したことが理由の1つだと思います。おかげで、今までの検査でははっきりしなかった病変が見えてくる事例が何例かありました。

ところが、この患者さん、数年前の脳波検査でO1先生は、既にその病変のある位置からてんかん発作が起こっている可能性をレポートに記載しておられました。そのとき、その患者さんの脳波を読んだO2先生以下他の人たちは「え~!?」とびっくりしたのだそうです。

なぜかというと、脳波の異常は全体に広がって見え、脳の一部から起こっているようには全く見えなかったからです。みんなかなり脳波を経験してきており、脳の一部だけから発作が起こっていればそこを手術できる可能性があるので、みんな敏感であるにもかかわらずです。

この患者さんが、昨年再び脳波検査で入院され、僕が所見の担当をしました。僕は脳波異常は脳の全体から起こっていると主張しましたが、そのとき指導してくれたO2先生は、脳の一部から起こっているといわれました(O1先生は出張で不在)。そして、過去のレポートを2人でチェックしたとき、O1先生が脳の一部から出ている可能性を既に指摘していたことに気づいたのです。O2先生もすっかり忘れていたのですが、レポートを読んで思い出したそうでした。

つまり、O2先生はO1先生の数年後を追いかけており、僕はO2先生の数年後を追いかけているわけです。O2先生は「O1先生も前に進んでいるから、なかなか追いつけないなぁ」と笑っておられました。

その僕もこちらに来て1年たち、昨日にみんなでこの患者の脳波を再び見たときは、脳の一部から来ていると思えるようになりました。少しは進歩したのだと思います(そう願う)。そして、O1先生の異常を察知する力に感銘を受けたのでした。

なお、MRIの異常が分かる前に手術が決定したのは、脳磁図と呼ばれる検査(脳が発する磁気を記録する)が明確に脳の一部を指したからです。

まだまだ学ぶことは多いです。

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