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2008/09/20

USMLE step 2CS終了 (USMLE step 2CS is over)

ようやく、やっとのことで、USMLE step 2CSが終わりました。疲れたよ~! 感想ですが、正直、受かればラッキーみたいな感じです... 練習不足がモロに出たような気がします。とにかく、過ぎ去った過去は忘れ、楽しい現在と未来を生きたいのですが、今後受験する方たちのために僕の経験を書き残しておこうと思います。

USMLE step 2CSは、患者さんに接するに当たっての必要最低限の知識、マナー、診察技術があるか否かを試す試験です。だから、USの医学生たちと一緒に受験するわけです。今日は外国人も何人かいたような気がします。

試験は、模擬患者さん(SP)を使って行われます。彼らは患者役を演じているわけで、僕たちが医師の役を演じるわけです。そして、どのくらい必要項目をこなせたかで合否が決まる。12人のSPをそれぞれ15分で問診、診察し、自分の意見と検査方針を述べ、必要に応じてカウンセリングを行う。そして、10分でカルテを書きます。診察の残り5分とカルテ書きの残り2分で合図があります。

試験は、僕の場合は朝8時に集合、5人診た後に30分の休憩(軽食つき)、4人を診た後に15分の休憩、そして3人を診て終了です。

ルール上、試験の内容を書くことはできませんが、差しさわりのない範囲で、僕に起こったことを、恥を忍んで書いておきます。今後受験されるみなさんの参考になりましたらと思います。

合否は本当に分からんのですよ。今までのstep 1やstep 2CKと違って、全く手ごたえがないんです。はぁ~~...

この試験の全ては時間との勝負と言っても過言ではありません。限られた時間内で可能な限りの項目をこなして点をとる(SPはチェックリストを持っている)のがこの試験の本質です。さて、患者との対面(encounter)は15分ですが、教科書には問診に7-8分、診察に5分、説明とカウンセリングに2-3分と書いてあります。

手順は決まっていて、入室OKの合図があると、ドアにかかっている患者さんの情報のカバーを開き、名前、性別、年齢、主訴、ヴァイタルサイン(体温、血圧、心拍数、呼吸数)を確認する。そして、ノックして部屋に入り、名前を確認し、名を名乗り、自分が何をするか(問診して診察する)を話す。Drapeをかけ、質問を始めるというわけです。

さて、入室前に主訴を見たら、ある程度聞く内容をそこで考えておく必要があります。入室後に考える間はありません。SPが目の前にいるからです。なので、質問内容の語呂合わせなどをあらかじめ手持ちのメモ用紙(バインダーと一緒に配布される)に書いて入るわけです。ところが、周りの人たち、サッサとノックして入っていきます。たぶんUSの医学生たちでしょう。正直、これが焦ります。だって、自分だけ外に取り残されるわけですから。でも、ここでしっかり準備するのが外国人の自分にとっては正解なのです。しかし、最初のSPでは、それをしっかり忘れてしまいました!

SPにはごく普通の典型例、痛みなどで苦しんでいる例、そして、子供についての質問などで電話がかかってきたとか、親だけが受診したとか、健康診断のチェックアップ用紙を持ってきたとかという非典型例があります。僕の場合、最初のSPは非典型例でした。おまけに、語呂合わせも何も書かずに入ったので、頭真っ白になっちゃいました(白髪は最近増えているが...)。途中で質問に窮して「let me see...」とつなぐ羽目になったりとか。たぶん、動揺が向こうに伝わっていたと思いますし、アイコンタクトも不十分になっていたかも知れません。あとで、似た例についての解説を本で読むと、それなりの内容は尋ねていたということが分かりましたし、既往歴などの定型的な問診はある程度できていたようです(たぶん)。おそらく、トロントで1年やっていなかったら、ここで終わっていたと思います。

非典型例は、だいたい早くencounterが終わります。外に出てみると、もう既に何人かがカルテを書き始めている! なんでみんなこんなに早いの?とついつい思ってしまいます。こちらは頭が真っ白なので、焦りが強まる。これは最後まで思ったことです。みんな何故か早く出てきます。そんなに手早く問診をして診察、説明まで済ませているのでしょうか? 信じられない思いです。

2人目では、横になってもらった際に、foot stoolを出し忘れているのをSPに指摘され、「I'm sorry about that...」と気まずい思いをしました。とほほ。おまけに問診に10分近くかかったため、カウンセリングの途中で終了(8割は済んでいたが)。「I got paged. I will be back as soon as possible.」と言って出て行く羽目に...

3人目くらいから、少しずつ頭が冷えてきました。つまり、周りを気にしない。自分のペースで患者さんの情報を書き止め、語呂合わせを書き込み、ある程度質問を考えてから入室する。話すのもなるべくゆっくりと。質問は主訴に関連したことを尋ねた後、随伴症状やreview of systemsでぱっと思い出せない場合は、さっさとあきらめて既往歴、服用薬物、アレルギー歴、家族歴、社会歴、sexual historyに話を移す。なぜかというと、既往歴等は定型的質問なので、頭を使わずに点が取れるからです。1点はどこでも一緒。問診はちょっと短いかなくらいで切り上げることにする。それで、だいたい8分過ぎくらいになっていたようです。手洗いをして診察を始めて1分くらいしたら残り5分の合図が入ることが多かったので。診察ですが、主訴に関連したところをメインにして、あとは欲張らず切って捨てる。たぶん、ほとんどの診察を3-4分で終えていたと思います。おかげで、診察項目の不十分さには自信があります! そして、病歴の要約と自分の持った印象、検査方針(超音波検査やCT検査などはとんな検査か簡単な説明もする)を話す。ライフスタイルの変更が必要な場合は、手短かにカウンセリングを行う。そして、何か質問はないかと尋ねる。質問があれば答えて、あなたのためにベストを尽くすからとreassuranceを与え、挨拶をして笑顔で立ち去る。

そうですね、5人目くらいからはペースに乗れてきたと思うのです。ただ、外に出てカルテを書いていると「あ~、あれを忘れていた!」ということが多々出てくるのです。1-2個じゃありません。合計すれば10個(いや20個?)は軽くいくでしょう。これは、他の受験生たちも同じようなことを言っていました。問診にしても診察にしても、自分が正しいことをしたのかがイマイチはっきりしません。ただ、challenging questionにはほとんど答えられましたから、これは良かったと思います。First Aidのおかげです。

前回の記事にも書きましたが、First Aidによれば、IMGが落ちる場合、CIS (Communication/Interpersonal skills)で落ちるらしいのです。だから、ノック、挨拶、名前の確認、自分の名を名乗る、何をしたいか述べる、患者さんにdrapeをかける、主訴を聞いたら「I'm sorry to hear that」などの共感の言葉をかけるのには気をつけました(たぶん、ほとんどの患者さんで大丈夫なはず)。痛みの強い患者さんには「I see you are in pain. Is something I can do for you?」と尋ねたり、苦悶の声を聞くたびに「Are you OK?」と尋ねたり。メモを取るときには視線が離れるのは仕方ありませんが、質問の時は相手の目を見る。だから、最初にメモを取ってかまわないかと予防線を貼っておきました。診察の際には、何をするかを告げる。痛い診察を繰り返さない。できるだけ病歴を要約して簡単に述べた後、病状に対する自分の意見を述べ、検査項目の説明をする。質問はあるかと尋ねる。カウンセリングを行う(忘れたものあったが)。こういった点になるわけです。カウンセリングは、いくつか忘れたのがあります。Smokingで間違いなく忘れたのが1例ある。これは、時間が余ったのでもったいなかった... あと、してはならない診察 (pelvic examなど)があって、これは検査の計画の話の際に「これを後でするから」と話すのですが、これも忘れちゃったのがあります。

次に落ちるのはSEP (Spoken English proficiency)らしい。英語はできるだけゆっくり話すように気をつけました。最初の数名では焦ったので少し早口になってしまったと思います。また、もう少し大きな声で話せばよかったと思います。ただ「質問の意味が分からん」と言われたのは数回程度でしたので、大体はこちらの言いたいことは伝わったと思います。SPの発音ですが、くだけた発音は確かに聞き取りづらい。どの患者さんでも最低1-2回は聞き直しをしたと思います。しかし、トロントでの1年は無駄ではなかったと実感しました。正直、トロントでのlisteningの方が難しいかも知れない(外国人が多いので)! また、これはCISになるのかも知れませんが、SPの言った内容は自分も口に出すようにしました(ふだんの診察でもそうしています)。そうすれば、間違えたらSPが教えてくれますし。自信のないときは「You said ... Is this correct?」などと尋ねたりも。分からん薬は「Could you spell it for me?」です。トロントの1年がなかったら、特にOTC薬の名前ではもっと困っていたと思います。

さて、ICE (Integrated clinical encounter)は医学知識を試すものです。ここは5割でOKという噂もありますが、この5割がいけているかどうかも自信ありません。痛みについては、LIQORAAAをこなし、随伴症状を思いつく限り尋ね(外れも多かった気がする。外れると点数にならない)、PAM HUGS FOSSを逐一こなす。主訴に関連する質問や随伴症状についての質問があまり思いつかなかったケースも多かったです。診察は、どうしてもsuperficialになってしまい、十分にできた自信がない。カルテは思いつく限りは書きましたが...

こんなわけで、正直、手ごたえは全くありません。臨床をするための最低限を試すわけだから、そんなにきびしいわけないだろと願いたいのですが、全く見当がつかないのです。願わくば受かっていて欲しい。受験料も飛行機代も宿泊費もバカにならないし。全部で20万円くらいはかかっていますからねぇ。だけど、落ちたとしても仕方ないかというくらいの出来に思えるしなぁ。とにかく、最初の数例で冷静に出来なかったのが痛かったです。

さて、こんな状態でアドバイスなんてと思いますが、知り合い同士で練習をあらかじめした方が絶対に良いです。Kaplanの講習などを受けておけば、本番で真っ白になることはないでしょう(ただ、バカ高いんです)。英語での仕事の経験が全くない場合には、かなりの努力が必要だと思います。

まぁ、この試験は完璧を求めているわけじゃないんだからというわけで、12月の結果発表を待つことにしたいと思います。それまでにするべき仕事はたくさんあるし。これから、O1先生からの論文書きのプレッシャーが山ほどかかるでしょうし、学会発表の準備もあるし、ホントに色々です。はっきり言って、試験合格よりも自分の仕事の方が大事。当面は、過ぎ去った過去は忘れ、現在と未来のToronto lifeを楽しむことにします。

と言いつつも、受かっていて欲しい... はぁ~!

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コメント

私は今、CSテストを控え、カプランの5日コースを受けるためにシカゴにきています。実は私はつい最近までカナダ臨床留学をめざしており、MCCEE,MCCQE1も合格したのですが、CaRMSの条件の厳しさのためにあきらめました。カナダでの永住権をもっていないとCaRMSに応募できないのです。今年アメリカでresidencyを得られなかった場合、もう一度カナダ留学をめざそうかと思います。
これからもメールさせてもらっていいですか?

投稿: 河合 建 | 2008/10/03 19:54

CaRMSは、確かに永住権を要求しますね。とにかく、residencyに入り込むのに関しては、アメリカの方が断然楽だと思います。ECFMGを取りさえすれば、申し込めるわけですから。カナダはfellowshipの敷居は低いのですが、residencyは入りにくいのです。

メールはいつでも歓迎です。Profile pageにリンクがありますので、どうぞ。

できましたら、カプランのコースを受けたうえで、私が対策として書いた内容がおかしくないかについてフィードバックをいただけますと、とてもありがたいです。

投稿: あきちゃん | 2008/10/04 01:13

CIS (Communication/Interpersonal skills),
患者さんに触る前に必ず「触りますけどいいですか?」と尋ねることと,
必ず手を洗うこと!これはとても大事です.
ちなみに私は日本以外での臨床経験ゼロでKaplan5日間コース行っただけでしたが
一発で通しました.
そのコツは,
1)何よりとにかく忘れずに手洗いをすること.
咳が主訴の患者の場合には自分もマスクをすることを忘れずに
そしてこれは先に合格していた友人のアドバイスですが,
2)見落としなく診察するために必ず頭のてっぺんから診察し,
3)見た部分が全部正常だったとしたときの「正常所見の羅列」を
黙っていても書けるようにしておくこと,です.
まずそれを書けるようにしておいて,所見のあるところだけ変えればよいのですから.
後は所見を尋ねる決まり文句をくどいくらい繰り返してそれだけ練習して,臨みました.
「LIQORAAAをこなし、PAM HUGS FOSSを逐一こなす。」これはカプランでも言われます.
メモの紙を渡された瞬間にまずそれをおまじない代わりに書いて,
それから患者と話し始めるのも良いと思います.私はこれで聞き漏れを防ぎました.
基本的に,日本でそれなりに臨床医として経験があれば大丈夫だと思います.
ある意味,曲がりなりにも医師なんだなと実感できましたから...

投稿: どぜう。 | 2009/08/14 12:40

どぜうさん、ありがとうございます。
思えば、USMLE step 2CSとは、医師としての基本的なマナーを試しているんですよね。だから、何をするにしても、患者さんに説明しながら行っていくのが重要ですね。基本的には、米国の医学生さんへの試験ですから、臨床医としてある程度やっていれば、英語は別として、そこそこやれるはずなんですね。

投稿: あきちゃん | 2009/08/14 21:47

先日、メールで相談させて頂いたTNです。
CSにpassし、ECFMG certificationを得ることが出来ました!SEPはぎりぎりでした。良い勉強になりました。勉強に行けるよう、努力を続けようと思います。先生のブログはとても役に立ちました。ありがとうございました。

投稿: TN | 2015/12/10 09:51

TNさん、合格おめでとうございます!

意志あるところに道は開ける、です。これからも頑張ってください。

投稿: あきちゃん | 2015/12/10 10:37

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