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2008/07/08

フォスフェニトイン (Fosphenytoin)

フェニトインという抗てんかん薬があります。こちらでの商品名は、Dilantin。日本ではアレビアチンやヒダントールが有名です。

経口薬もありますが、注射薬は特にてんかん重積の治療で重要な役割を果たします。てんかん重積とは、「てんかん発作が30分以上続く状態、もしくは発作が断続的に続き意識が30分以上回復しない状態」を指し、一刻も早く発作を止める必要がある緊急事態です。

特に、比較的効果の持続が長いロラゼパム注射薬がない日本では、効果の持続が短いジアゼパム注射薬を使った後に、効果の持続の長いフェニトイン注射薬でしっかり抑えるという使い方をします。(注: 体内での半減期はジアゼパムがロラゼパムより長いのですが、ジアゼパムは再分布してしまうため、中枢神経に対する効果はロラゼパムの方が長い)。

フェニトインは意識低下をきたさないため、意識レベルのチェックが重要な集中治療の場では重宝されていると思います。

が、フェニトイン注射薬には大きな欠点があります。それは、強アルカリであるということ。そのため、血管外に漏れると組織壊死を起こします。だから、注射の際は細心の注意を払います。また、注射すると血管痛があるので患者さんが痛がる。これが辛い。また、心臓への作用があるので、注射はゆっくり行います。

そのため、最近はフォスフェニトインがこちらでは使われるようになってきています。フォスフェニトインは、フェニトインのプロドラッグで、体内に入ってからフェニトインに変わります。溶液がフェニトインよりも中性に近いので、組織壊死のリスクと血管痛がフェニトインよりも少ない。おまけにフェニトインに変わるのに少し時間がかかるため、注射速度がフェニトインの3倍(つまり所要時間は1/3)にできるという利点もあります。ちなみに、使用量はフェニトイン当量(mgPE)というのを用いることになっています。つまり、250mgPEのフォスフェニトインから250mgのフェニトインができあがるということです。

このフォスフェニトイン、フェニトインに関連するリスク管理を考えると、余分にコストを払ってでも使う価値がある薬だと思います。ちなみに、もう米国ではDilantinの注射薬は存在しないのだとか。

今後、確実にフェニトインに取って代わると思いますので、日本にも早く導入されて欲しいものです。

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コメント

はじめまして。エプスティンナオミと申します。実はFBの結節性硬化症の親、当事者グループを運営して、最新のアメリカの関連ニューズを翻訳して載せています。今日はアメリカのstatus seizureの治療のためにフォスフェニトインとケプラ、デパケンを比較する治験が始まるという記事がありましたが、私もフォスフェニトインが初耳でしたので、検索すれば先生の分かり易い説明を見つけました。とても助かりました。

そこで、このグループに子供が難治性のてんかんをもって、色んな情報を積極的に集める親がたくさんいます。よろしければ先生のサイトの痙攣重責の定義とリンクを載せてもよろしいですか。突然のメーセージ、申し訳ありませんです!

投稿: Naomi Epstein | 2016/11/17 15:12

エプスティンナオミさん、こんにちは。

このブログは公開のものですから、リンクはご自由にどうぞ。

投稿: あきちゃん | 2016/11/17 16:41

昨日は早速載せました。ありがとうございました。

投稿: エプスティンナオミ | 2016/11/18 19:46

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